雲南省 梅里雪山&玉龍雪山を見る旅


2009年6月、2大名峰と麗江古城、ユートピア(理想郷)のシャングリラの旅を企画した。世界遺産を訪ねる旅でもある。三江併流のうち、長江とメコン川の上流の豪快な大河を見て、中国の大きさと広さを体験してきた。

中国の都市は、この1年で10箇所ばかり見てきたが、その経済力、新興都市としての活力、発展のすさまじさは目を見張るものがある。箱物が出来て、あとはソフト面であろうか、搶ャ平が唱えた「改革・開放」に順調であったが、ここに来て民族問題が「チベット自治区」、「新疆ウイグル自治区」と連続で民族問題が勃発してきている。他に「内モンゴル自治区」でも中国の圧制に苦しんでいる。中国政府がウイグル地区で行った核実験では19万人が死亡、健康被害が多数出ている。誠に勝手な行動が反感を呼ぶのであろう。

何故、民族独立運動が続くのだろうか? 共通する要因は各自治区の豊富な地下資源であろう。ウイグル地区の綿は世界三大高級コットンで有名。また石油、天然ガスなど各自治区に共通するのが、鉱物資源であり、中国政府は絶対手放せない土地なのである。

もう一つの紛争の要因は、中国人の9割を占める漢民族の特異性であろう。歴史的に略奪を繰り返してきた民族性である。凶悪な民族性は経済が豊かになっても、教養が高くなっても、文化が発達しても未だ国際人としては世界で認められてはいない。自治区の民族が素朴であるが故に哀れと言えよう。

紀元前5,000年頃から繰り返してきた中国の民族の興亡、現在の中華人民共和国の体制になってまだ60年である。最早60年と言おうか。13億の人民と広大な土地を要する中国はこれからのカジをどのように切っていくのか注目される。

そのような観点から、今年は中国を旅し、とりわけ民族と宗教を中心に見てきたい。


                    

梅 里 雪 山

梅里雪山とは、中華人民共和国雲南省デチェン蔵族自治州に位置する連山の総称。最高峰カワカブの標高は6740m。現在も未踏峰。

雲南省の三江併流と呼ばれる地域で、一帯が世界遺産に登録されている。宗教的には、チベット仏教の聖地となっており、五体投地により山麓をめぐる巡礼者を集める信仰の山である。

1991年1月4日、日中合同学術登山隊17名(日本側11名、中国6名)が登頂を断念し下山中、雪崩に巻き込まれ全員が行方不明となる遭難事故が発生。中国の登山史でも最大の犠牲者数となった。

1998年8月以降、毎年のように山麓に流れ至る氷河の中から遭難者の遺体や遺品が次々と発見され、17名中16名の遺体と全員の遺品が収容された。遺体の捜索が一段落した2006年10月、京都大学山岳会は山麓の明永村に記念碑を建立している(翌年に損壊された)。もともとこの山は地元の信仰では立ち入ってはいけないものとされ、遭難は祟りによると考える人が多く日本側への反発が強い。記念碑は碑文のうち日本語部分及び日本人遭難者の氏名が消されてしまっている。


玉 龍 雪 山

玉龍雪山は雲南州麗江市にあり、付近一帯は玉龍雪山国家重点風景名勝区として世界遺産に、同時に麗江市玉龍雪山景区として中国最高レベル(5A級)の国定公園に指定されている。北半球で最も南に位置する氷河がある。

麗江市街地の北15kmほどのところにあり、南北約35km、東西約13kmの公園区域内に、13の峰がある。最も高いのは扇子陡(とう)で、山頂は標高5596mである。未だ扇子陡の登頂に成功した者はなく、処女峰である。


            

   今回の旅行先は雲南省、「云南」と表示の一番南地区。その左上「西蔵」がチベット、さらに上の「新疆」がウイグル地区。

 


    

  行程は新千歳〜上海〜昆明〜麗江〜シャングリラ〜徳欽の順である。

 


        

中国の航空会社は元は国営一社であったが、何社かに別れ、路線が決められ競合は無い。だからツアー会社も乗客も航空会社の云う通りにしないと乗せてもらえない。帰りの昆明から上海便が1時間程度航空会社の都合で遅れた。荷物を持って30分前に国内線から国際線に荷物を預けようとしたが、30人ほどの乗客は断られた。ツアーの添乗員は荷物受け取りの女性担当者が、「短時間で仕事をしなければならないので、嫌になったのでしょう、よくある事なのですよ、中国は。」と言う。時間前に到着しているのにである。日本では考えられない現象である。 おかげで5時間遅れ、上海のホテルに着いたのは午前2時、そして4時に起きて次の行動。2時間の睡眠はかなり厳しい。

行きの上海航空でも事件を垣間見た。「中国東方航空」のカウンター(写真・中)で、中国人の男性乗客がカウンターの女性担当者に大声で食い下がっている。その声は徐々に大きくなり、テンションが最高潮になり、見る見る内に観客が増えてきた。この場面は男性客に「否」があつた。個人なのに、団体客のカウンター(英語でGROUPと書いてある)に来て、女性担当者に、ぶっきらぼうに、いかにもつっけんぼうにあしらわれたらしい。それが悪いと言っているようだ。 だが、この女性は悪びれる事も無く、大声には大声で、負けてはいない。一歩も下がらない。眼も吊り上っている。まるで般若の如く。上司が来ても、警察が来ても 「矢でも鉄砲でも持って来い!」 と云わんが如くである。おかげで退屈しのぎとなった。

中国の女性は、一般的に顔に笑顔が少ない。真面目なのか、いつも怒っているのか、人と接する時の柔らかさが殆ど無い。世界で一番の高所を走る西蔵鉄道に乗車した時も、女性乗務員はいつもむすっとして仕事をしている。乗車して有難うと言う言葉も無ければ、笑顔なぞ全く無い。家庭の中でも同じなのだろうか。日本人も、欧米人も皆、顔に表情があり、互いに仲良くしょうと言う雰囲気があるのに、中国人にはそれが足りない、残念である。

(写真)は千歳から上海に着いたが、中国保険局のインフルエンザ調査の担当者10人が、白装束ずくめで乗客一人ひとりに鉄砲のようなセンサーを額に当てて検査して歩く。まるで乗客は犯罪者である。この後も要所要所で月光仮面のおじさん、おばさん達が活躍された。中国は日本よりず〜っと大げさだ。

(右の写真)は昆明の飛行場を出ると、交通網の整備で、インフラに力を入れる中国の景気のよさが目立つ。


 

      

   昆明の街中の一こま、街の景観はヨーロッパのようだ。    ビールは少し薄味だが美味い。黙っていると常温で出てくる。     昆明の空港、どこも大きく立派だ。

昆明はミャンマー、ラオス、ベトナムと国境を接する雲南省の省都。1年を通じて春のような気候で「春城」とも呼ばれる。人口481万人、標高1900m。

 


       

         昆明の空港内ロビー、色々な売店がど真ん中にある。昆明は花の街、バラが開かないように白いカバーで覆われている(左から2番目)

 

        

          日本の花とは違う種が多い。            昆明の空港内、広くて大きくて、しかも綺麗。               中国は茶の国、数が多い。


 

麗江    標高5,596mの「玉龍雪山」の麓に広がる街で、人口113万人、標高2,400m。かってはチベットの馬と四川・雲南の茶葉を交換する「茶葉交易」の拠点として栄え   

        た。 宋代(1,000年頃)〜元代(1,300年頃)にかけて建造された、「ナシ族」の暮らす木造二階建て瓦屋根の家が建ち並び、町中を縦横に水路が走っている。

        ナシ族は「一妻多夫」や「妻問婚」で有名。ナシ族の女性は働き者、男は議論やら情報収集で殆ど働かないという。だから女性中心の家系となる。家は女性が世帯     

        主?であるから、男性が通って来る、だから誰の子供か分からないと言う。生まれた子供は母親と一緒に暮らす兄が中心となり育てる仕組みらしい。

            

                             麗江の空港                               三眼井〜三つの池があり、上が湧き水の飲料水。

           

 

     

                           二段目が野菜洗い場                                  三段目が洗濯用

 


               

麗江の街並み、1,000年前の木造の家が迷路のように建ち並ぶ。    ナシ族のガイド、ナシ族のトンバ文字。    観光馬車の馬の口には人を咬まないようにカバーが。

 


                                       

                        5層の楼閣                                         景観が素晴らしい

 

麗江は世界遺産、街中に水路が張り巡らされている。


 

               

     街の中は水路と、柳の木、橋が美観を高める      玉泉公園、天気が良ければ池に玉龍雪山が写る。     連日の中華料理だが決して飽きない

 


 

                   

     雲南省の少数民族ショー「麗水金沙」、美人揃い      玉龍雪山の麓「玉花雪山」3,356mへバス、ロープウエイで4,506mへ。  歩いて4,680mへ。

 

                

           右側のピークは4,680m、玉龍雪山(5,596m)はガスで見えない。氷河が押し寄せている。                  長江の上流

 


             

 虎跳峡(こちょうきょう)・・・長江の支流で、玉龍雪山から流れる金沙江(長江は上流部を金沙江、下流部を揚子江と呼ばれる事が多い)にある長さ15Kmの大峡谷。  両岸に 高山が対峙し、その深さは3,000mにも達するが、両岸の間は狭い所で30mしかない。虎が向う岸に飛び越したという伝説からこの名がついたと言う。

 


    

                         

            高山植物の宝庫、属都湖、碧塔海はシャングリラから近い自然保護地域。リンドウ、プリムラ、サクラソウ等の群落が続く。

 

                          

シャングリラの東に位置するハイキングコース、全て木道完備。木道も滑らないように横にミシン目がはぃっている。


 

                      

中国のガイド、中国について批判的なことを言うと、目をむいて応酬してくる。漢民族を代表する?性格。 (写真・中)はチベット人のガイド、こちらは素朴でおっとり、チベット人を代表する人柄?       (写真右)はチベット仏教のタルチョ(経文を書いた旗)


 

                       

                     可憐なサクラソウ                               二つの湖をめぐるハイキング、およそ3時間

雲南アルペンルート


             

雲南省、チベットは牛、羊、ヤク、鶏、馬、そして豚も放し飼い。「7匹の子豚」は親豚の乳首から離れない。整然としたシャングリラ。 シャングリラから徳欽へ向かう大峡谷。棚田が山にへばりついている。底を流れるのは金沙江(長江の上流)


             

     峠のタルチョ(旗)から垣間見る長江               梅里雪山の麓町、「明氷氷河」まで16km    金沙江の金とは、濁った川の色が金の様だかららしい。

 


                 

        氷河から近い、「明氷村」からは馬に乗り8kmを5時間                 往復3時間は馬上の人、落馬して怪我をする人も。     タルチョと押し寄せる大氷河。   

    1991年1月4日、日中合同学術登山隊17名(日本側11名、中国6名)が登頂を断念し下山中、雪崩に巻き込まれ全員が行方不明となる遭難事故が、この氷河の左側の谷で発生した。              


我が愛馬、私より体重が軽そうできゃしゃ、それでも懸命に坂道を登ってくれる。上る時は上半身を前に、下りは後ろへ、しかしバランスをくずして落ちそうになる。落ちると谷底の数十m下へ。歩くより疲れる。昔の武士は馬に乗って戦をしたようだが、乗っているだけでも命がけなのに・・・・  残念なのはお礼にニンジンを持っていなかった。

今日の任務を終え、鞍をはずしてもらうと、馬はそれぞれが村の我が家に帰っていく。途中水を飲み、草を食み帰るのだ。何と賢いものだ。人間みたいに寄り道はしないようだ。


 

                  

  17名が遭難した記念碑が村の麓に建立されている。         トラックは使い古されている。               ヤクを飼育するためのテント、数ヶ月居住する。

 


三江併流(さんこうへいりゅう)は中国のチベット高原に源を有する三つの川、金沙江(長江上流部)、瀾滄江(メコン川上流部)、怒江(サルウイン川上流部)が雲南省北部のデチェン蔵族自治州及び怒江リス族自治州を平行に流れている1,698,400haに及ぶ地域で、その地域は14の保護された地域からなる。動植物層が豊かなことから、ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されている。

金沙江月亮湾 (写真)は金沙江が山の裾を沿って大きく曲がっている様が見える。こちら側崖の上から見ると長江の雄大、壮絶にして鬼気迫るものがある。この山があるため、川は迂回して中国側に流れる事になるらしい。この山が無ければ東南アジアのベトナムかミャンマーに流れていたかもしれないと言う。

 


            

観光バスはこのメコン川と平行して山の上のジグザグ道路を走る。    シャングリラに近い湖・ナパ海にある巨大ブルー・ポピー       チベット仏教寺院・松賛林寺


 

                     

(左) チベット仏教寺院・松賛林寺で禅問答をする若い坊さん。   禅問答の例 : 手を叩き、相手に言う。赤ちゃんの歯は白いか、黒いか? ・・・・ 白い!  違う!   赤ちゃんには歯が無いのだ。 ムムッ・・・ てな具合だそうだ。

(中) ナパ海の大草原には動物と花がびっしり。

(右)シャングリラ空港     シャングリラ(Shangri-La、香格里拉)とは、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に出版した小説『失われた地平線』の中に出てきた理想郷(ユートピア)の名称。小説の設定ではヒマラヤ山脈近辺にあるとされた。桃源郷の伝説と結び付けて語られることもあり、東洋的な雰囲気を持つ、ミステリアスな場所とされている。チベットのシャンバラをモデルとしている。ここから転じて、一般的に理想郷と同義として扱われているらしい。

2,001年、雲南省デチェン蔵族自治州中甸県(ちゅうでんけん)がシャングリラ県(香格里拉県)と名称を変更した。



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