ベリーズ紀行

中米ベリーズの「シュナントゥニッチ遺跡」のピラミッドから広場を見る

 旅の初めに・・・

 中米7か国巡りでベリーズを計画。
他の6カ国はスペインが宗主国であるが、ここベリーズだけはイギリスである。宗主国がイギリス故に、さほど治安には不安はないようなので取りあえず安心である。

 見るべきものはさほど見当たらず、2か所のマヤ遺跡のみだが、規模は小さいようだ。中米最後の国で、最後はここからロスアンゼルスに飛び立つ計画である。


        


      ☆ 歴 史

年    月

略   史

1502

コロンブスにより「発見」、マヤ文明からスペイン統治とした。

1798

英国人入植者、スペイン軍に勝利し、自治拡大

1821

スペインから独立したグアテマラが領有権を主張

1862

ジャマイカ総督領に編入(英領ホンジュラスとして正式に宣言された)

1884

ジャマイカ総督の管轄から切り離され、英領ホンジュラス総督が設置された。

1981

独立

1991

グアテマラがベリーズを承認


        ☆ベリーズ

 ベリーズは、中央アメリカ北東部、ユカタン半島の付け根の部分に位置する英連邦王国((かつて英国の植民地であった16か国)の一国。

 政体は国王を元首とする立憲君主制国家である。現在のベリーズ国王はイギリス女王エリザベス2世で、その代理人として実権のない総督がいる。

 美しい珊瑚礁に恵まれ、「カリブ海の宝石」と呼ばれている。

 国名の由来はマヤ語で「泥水」を意味する言葉から来ているとされている。

 国土の大半は未開発の熱帯雨林の原生林である。沿岸部は湿地帯でマングローブの森があり、世界第2のさんご礁がある。

 中米の国の中で最も経済の開発が遅れた国である。


        ☆国境→ベリーズ

国境近くは果物屋民芸品店が並ぶ

基幹産業は観光のほかに、砂糖、オレンジ、バナナの農業

いつもながら緊張の国境

首都のベリーズシティの標識

ズラリ並ぶ民芸品

      


        ☆サン・イグナシオ

 サンイグナシオはベリーズシティから西に130キロ(バスで3時間)、山に囲まれた小さな街。
 サンイグナシオの街の中心部には、マカル川が流れており、暑い日などは水浴びしている親子を良く目にする。

 サンイグナシオは、毎年3月に開かれる中米一大きいカヌーレース「ルタマヤ」の出発地点にもなっている。

 人口:16,800人、マヤ遺跡のシュナントニッチ遺跡やカル・ペチ遺跡が郊外にある。

二つの遺跡に近い街:サン・イグナシオのロッジに泊まる

右奥のバーで酒を酌み交わす

プールも付いたフアイブ・スター


      ☆シュナントニッチ遺跡

 ベリーズの2$紙幣の裏側にも描かれているこの古代遺跡は、ベリーズを代表するマヤ遺跡のひとつ。

 シュナントニッチとは「石の女性」という意味を持つ。
9世紀頃に繁栄したといわれていて、
エル・カスティージョと呼ばれる高さ40mのピラミッドを持つ。

壁画の装飾も残っており、神や怪物などが刻まれ、保存状態も良い。
また、乗馬をしながらこの遺跡に行くツアーも催行されている。

川の渡し船で車ごと移動

船頭さんは手動式エンジン

看板

マヤ遺跡の説明

遺跡広場

最上階まで登られる

高さ40m

最上階からの眺めは素晴らしい

人の顔がたくさん彫られている

帰りも渡し船で

ランチタイムはホテル

ビュッフエ・タイプ

ビールにもマヤの文字が

3種類の香辛料


      ☆カル・ペチ遺跡

 カル・ペチは、ベリーズサン・イグナシオという町の近くにあるマヤ文明の遺跡。

 マヤの上流階級の家族が住んでいた邸宅の遺跡であり、主要な建物は古典期に建てられたものだが、紀元前900年ごろ(先古典期中期)から継続的に住んでいた証拠が見つかっており、ベリーズ西部では最も古い遺跡の1つとされている。マカル川の土手の上にあり、34の建築物が集まっていて、最も高い建物は約25メートルの高さである。紀元9世紀ごろ放棄されたが、その原因はわかっていない。

 カル・ペチ とは「ダニの土地」を意味し、1950年代に牧草地だったこの場所で発掘を開始した際に名付けられた。現在は考古学的な公園となっており、継続して発掘も行われていて、出土品を収蔵した小さな博物館もある。

看板

遺跡広場

シダの葉で造ったアーチ

保存の良い神殿跡

シダの葉で作ったばかり

途中まで作ってある


      ☆ベリーズ動物園

 100種類以上の野生動物をなるべく自然に近い状態で飼育している。
 ベリーズの国のシンボルであるバクをはじめ、ワニ、ジャガー、ホエールモンキー、イグアナ、トゥーカン(ベリーズの国鳥)など日本ではなかなか見られない動物がたくさんいる。


入口

イノシシ

バク

密林の王者:ジャガー


     ☆ベリーズ・シティ

 ベリーズシティはベリーズ最大の都市。2000年時点の人口は、4万9千人。

 17世紀に製材業者が開いた町である。1961年にはハリケーンにより、壊滅的な打撃を受けた。かつてはベリーズの首都であったが、首都は1970年に内陸のベルモパンに移された。

 ベリーズ・シティの女の子は、ちぢれっ毛をクルクルッと器用にまとめ、髪飾りを頭いつぱいくっつけている。


首都はカリブ海に面す

お巡りさんは太っちょ

おばさんも太っちょ

イギリスやアメリカ系のホテルが多数

イギリスの植民地であったためか整然としている

中世を思わせる

子供たちの通学風景

小さな国際空港

エア・ポートの看板


     ☆マヤ文明とは 

 ☆マヤ文明における大規模かつ政治的影響が大きいもの、または考古学的に重要な発見があったものは次の8か所。

 マヤ遺跡は、現在判明している遺跡だけでも4400ヵ所を超えているが、マヤ文明を構成する人々とその文化は、現在のグアテマラ、ベリーズ、 ホンジュラス、エルサルバドル、メキシコの地域で、紀元前2000年頃から紀元後9世紀頃まで、2500年以上の長きにわたり繁栄を誇っていた。

             名称                   

               国                   

              説明                                       

  ウシュマル  メキシコ 精緻な彫刻で知られるプウク様式の代表的な遺跡。魔法使いのピラミッド、尼僧院といった遺構がある。1996年、世界遺産に登録された。
  カラクムル  メキシコ 古典期を通じてティカルとライバル関係にあったカーン(蛇)王朝の首都。高さ45メートルのピラミッド、構造物2などがある。2002年、世界遺産に登録された。
  キリグア  グアテマラ 卓越した彫刻の巨大なモニュメントで知られるモタグァ川流域の遺跡。古典期後期にコパンを破り最盛期を迎えた。1981年、世界遺産に登録された。
  コバン  ホンジュラス 立体的な浮き彫りを施した彫刻で知られるモタグァ川流域の大遺跡。神聖文字の階段や、王朝の歴史が刻まれた祭壇Qなどがある。1980年、世界遺産に登録された。
  チチェン・イッツァ  メキシコ 神秘的なセノーテやトルテカとの関連で知られる後古典期前半マヤ文明における実質的な首都。トルテカ・マヤ様式、プウク様式が混在する。1988年、世界遺産に登録された。
  ティカル  グアテマラ カラクムルと古典期マヤの覇権を争った大国の首都。密林の中に高さ50メートル以上の神殿ピラミッドが林立する。1979年、世界遺産に登録された。
  パレンケ  メキシコ 神殿ピラミッドの下部から王の墓が発見されたことで知られるウスマシンタ川下流域の遺跡。1987年、世界遺産に登録された。
  ホヤ・デ・セレン  エルサルバドル エルサルバドル西部に位置する古典期マヤの集落の遺構。「中米のボンベイ」として知られ、火山灰により集落が当時のまま残されている。1993年、世界遺産に登録された。

 マヤ文明の特徴として、以下のような点が挙げられる

  • 青銅器鉄器などの金属器をもたなかった
  • 生贄の儀式が盛んであった
  • 車輪の原理は、土偶などの遺物に出てくるにもかかわらず、実用化しようと考えていなかった
  • 牛や馬などの家畜を飼育しなかった
  • とうもろこしの栽培のほかにラモンの木の実などが主食だった
  • 焼畑(ミルパ)農法や段々畑・湿地で農業を行った
  • 数学を発達させた(二十進法を用い、の概念を発明した)
  • 文字種が4万種に及ぶマヤ文字を使用していた
  • 持ち送り式アーチ工法など高度な建築技術を持っていた
  • 極めて正確な暦を持っていた(火星金星の軌道も計算していた)
  • 多くの文明は河川の水の恵みにより発展してきたが、マヤ文明はセノーテとよばれる天然の泉により発展した


 マヤ文明崩壊の推理
 
・異民族の侵入
 ・疫病の発生
 ・都市間の争い
 ・支配者階級の反乱力を蓄えた地方首長などが王に対し反乱を起こしたという説。
 ・環境の激変、人口増加により食料が不足し、壊滅したという説。
 ・交易経路の変更、マヤ文明は交易により繁栄したが、経路変更により交易が衰退し、その結果として都市が放棄 
 されたという説。


☆中米7カ国比較

国名

人口

面積

首都(人口)

宗主国

言語

産業

特徴1

特徴2

パナマ

330万人

日本の1/5

パナマ・シティ
(70万人)

スペイン

スペイン語

海運・漁業・金融・観光・バナナ

パナマ運河

拡張工事2014年完成、現在の2倍

コスタリカ

450万人

九州、四国を足した位

サン・ホセ
(38万人)

スペイン

スペイン語

コーヒー・バナナ・畜産・砂糖・観光

中米で最も安定した民主主義国

高い教育水準常備軍の不保持、

ニカラグア

515万人

日本の1/3

マナグア
(168万人)

スペイン

スペイン語

綿花・サトウキビ・バナナ・米・タバコ

国民所得や識字率などが中央アメリカでも未だに低い

内戦が長引き、経済が中米で最低

エルサルバドル

685万人

九州の半分

サン・サルバドル
(32万人)

スペイン

スペイン語

繊維の軽工業・コーヒー・砂糖

米国へ出稼ぎによる家族送金で経済の下支え

14家族が土地を独占、貧困を招いた

ホンジュラス

748万人

日本の1/3

テグシガルバ
(110万人)

スペイン

スペイン語

木材・バナナ・コーヒー・綿花・砂糖

中央アメリカで最も貧しい国

アメリカ合衆国資本によるバナナ共和国が影響

グアテマラ

1,368万人

日本の1/3

グアテマラ・シティ
(204万人)

スペイン

スペイン語

コーヒー・バナナ・砂糖・綿花・カルダモン(スパイス)

米国へ出稼ぎによる家族送金で経済の下支え

マヤ文明
米国のフルーツ会社が搾取

ベリーズ

  31万人

四国と同規模

ベルモパン
(2万人)

イギリス

英語、スペイン語

観光・砂糖・オレンジ・ジュースバナナ美しい珊瑚礁に恵まれ、「カリブ海の宝石」と言われる米国、コロンビアの麻薬中継基地

          

 中米諸国の経済所得水準

      
上位のパナマ、コスタ・リカ中位のグアテマラ、エル・サルバドル下位のニカラグア、ホンジュラスと三段階に別れる


    

    

 旅の終わりに・・・

 ベリーズは何もない所。ただ海が近いためかシーフード料理は美味しかった。

二つの遺跡も規模が小さく見るべきところは少ない。宗主国によって国のイメージが随分変わるものだ。

 珍しい集団を見た。アーミッシュと言う宗教団体の村である。
 彼らは、移民当時の生活様式を保持し、
農耕牧畜によって自給自足生活をしていることで知られ、生活様式を守るため電気を使用せず、現代の一般的な通信機器電話など)も家庭内にはない。原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い自給自足の生活を営んでいると言う。地味で同じ様な服を着て異様な集団に見えた。

 コスタリカの「クエーカー教徒」もしかり、新たな珍しい宗教団体を見ることが出来た。

                                                     終わり


    

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