ブータン王国 紀行

      

    タクツアン僧院(別称:虎のねぐら)は標高3000mの絶壁に建つ    ヤクと廃墟の城郭とチョモラリ(7314m)・・・チョモラリ・ベースキャンプ(4090m)にて

 2010年10月、幸福大国ブータンを訪れた。100年以上戦争を知らない平和な国、そして90%強の国民が幸福です、と答えるブータンはどんな国だろう。
書物や画像で見る限り、日本の1950年代の貧しそうな生活がうかがわれる。決して近代的ではなさそうだ。しかも人口が70万人程度で、主な産業はヒマラヤの山からの水を利用したインドへの小規模な水力発電の輸出、観光業、農産物、木材・・・  そして国民が寄せる高感度の王様の存在だ。

 今回はチョモラリ・トレッキングを主体に、首都のティンプー(7万人)、2番目の都市とはいえ、3万人程度の人口のパロを訪れた。

                        ブータンの位置                             ブータン国内地図

「国民の幸福度」順位表

   ☆ 「国民の幸福度」順位表 (2006年英・レスター大学が発表)

「国民の幸福度」順位表
1 2 3 4 5 8 10 23 35 41 50 62 90 178
デンマーク スイス オーストリア アイスランド バハマ ブータン カナダ アメリカ ドイツ イギリス イタリア フランス 日本 ブルンジ

                    動画 :幸せとは?  http://www.youtube.com/watch?v=JFxQImpqwEk   (rdo0909さんの動画です)

   ☆ ブータンの略史

年   代

出 来 事

詳   細

 ブータンの誕生 推定、紀元前2000年。文献、考古学的発掘調査資料がない。 チベット語圏では「ロモン(南のモンの国)」と呼ばれていた。
 6〜7世紀 チベット王ソンツェン・ガンポがチベットを統一し、インドから仏教取り入れ、ブータンにも普及した。 ブータンにパロのキチュ・ラカンとブムタンのジャンパ・ラカンの2つの寺を建て、仏教伝来する。
 8世紀 チベット仏教圏に組み込まれる。 インド人高僧が「タクツアン僧院」を聖地とする。
 11〜12世紀 チベット仏教にニンマ派、カギュ派など各宗派が出来る。 ブータンにも、カギュ派の支派でドゥク派(後の国教)が各地に寺院を建設する。
 14世紀 チベットで宗教改革が起こり、ゲルク派が勝利、その後ダライ・ラマにつながる。 ブータン:ドゥク派に指導者シャブドゥンが統率。
 1616年 チベット仏教ドゥク派を国教として(雷龍の国)誕生宣言。 ヒマラヤを越えて来るチベット軍、モンゴル軍を撃退。
 1864年 英国と「ドゥアール」戦争勃発。 ブータンはインド平原の小国家を植民地化、英国はチベット制圧で接触し全面戦争。ブータンは植民地を失うが、以後毎年一定の補償金を受ける。
 1900年前半 ブータン全土を制圧。 東ブータンの名門ジグメ・ワンチュク(初代国王の父)がブータン全土を制圧。
 1907〜1926年(国王19年間在位) ウゲン・ワンチュク初代国王 英国との協力態勢、対抗勢力抑えて「雷龍王」となり、世襲制の王位につく。
 1926〜1952年(国王26年間在位) ジグメ・ワンチュク 2代国王 王権統治完成。インド・ブータン友好条約締結。
 1952〜1972年(国王20年間在位)
      1971年
ジグメ・ドルジ・ワンチュク3代国王。
     1971年国連加盟。
国際社会への参加実現。農奴解放、政府機関整備など改革。1959年ダライ・ラマ」インドへ亡命。チベット世界への帰属意識の強かったブータンは180度方向を転換、インドに向かう事となる
      1964年 政治的混乱。 身内の首相が改革に反感を持つ保守勢力に寄り暗殺。国王も暗殺未遂事件、1972年急死。
 1972〜2006年(国王34年間在位) ジグメ・シンゲ・ワンチョク4代国王。世界一若く、ハンサムな君主誕生。 弱冠16才、世界最年少の国王誕生。
・4代国王のスローガン「GNPより、GNH(国民総幸福」は諸外国から注目される。
・2004年禁煙国宣言
 19世紀 南部の不法滞在者問題。 ブータンは教育、医療、収入で近隣諸国の水準より上回ることから、ネパール系移民が大挙移動入国し、社会問題化している。また反インド政府ゲリラがブータン領内に基地を作ったので、全面的戦闘状態で一掃した。
 1990年 政治プロセスを国王自ら発表。 憲法、地方分権の確立、政党政治、内閣制導入、総選挙等、国王が国民に提示し、国王の信頼はますます高まる。
 2006年〜   
 2007年  王朝成立100周年
ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク5代国王 26才・独身。父親と同様ハンサムで近隣諸国の女性に大人気。
 2008年4月 初の国民議会総選挙 与党党首が首相となる。
 2008年7月 憲法に国王署名。政体が立憲君主制へ移行。 「国王が主導する民主化」という、世界に類のない社会改革を実行し、世界から注目された。

   

    ☆ 歴代国王

   初代国王  ウゲン・ワンチュク 4代国王 ジグメ・シンゲ・ワンチュク  5代国王 ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク

動画 第5代王様戴冠式 (日立世界ふしぎ発見:2008年11月より)   http://player.video.search.yahoo.co.jp/video/fd7325d9782aa456b96392fccfbf3c44

   ☆ 幸福王国 / 語録集

・国の発展や成長は、人々の幸せにつながってなければならないのです。物質的な豊かさより、精神的な豊かさこそが国民の幸せにつながり ます。
・経済的に潤うために、家族との時間が犠牲になり、自然に触れることが少なくなり、やがて健康を害する。だからゆっくり近代化しています。
・外国からの援助ばかりに依存しません。依存してしまうと不安定になってしまうからです。

アメリカなどの大国とは付き合いません。付き合うとその陣営に組み込まれる危険性があります。そのかわり、西ヨーロッパの小国を選びました。
 スイス、オランダ、オーストリア、デンマークなどです。
役人はワイロと無縁です。ブータンは小さな世界なので、悪事はすぐに筒抜けになります。そして仏様が見ています
巨大なダムはつくりません。ブータンの輸出品目でトップが電力で、インドに売っています。急峻な地形を生かし、お金のかからない小規模発電を利  用しています。水は自然環境を守っていれば無尽蔵に再生される資源です。また水を利用するには森が必要です。だから木は切りません。

地下資源はありますが、掘り起こさないことにしています。国土を破壊するからです。
観光客は無制限に呼びません。国で決めている観光客の滞在費(宿泊・食事・車・ドライバー等)は1日約2万円です。これは制御弁なのです。
・ほとんどの野菜は無農薬です。農薬は高いし、それをまく機械も必要なので使いません。昔からオーガニックなのです。

飢饉で飢えたことはありません。農業国で、ヒマラヤからの水が無尽蔵、日照りが続くことはあっても困りません。食料は豊富なのです。
教育費はただです。制服・文房具・寮代は自己負担です。お金のかかる給食はせず、愛情のこもったランチボックスを生徒は持ってきます。
病院も水道代も無料です。

・国じゅう、禁煙です。タバコの輸入も販売も禁止です。
ホームレス孤児もはいません。ブータンは家族を大事にします。
野生動物は殺しません。輪廻を信じ、動物は家族の誰かが生まれ変わりかもしれません。

・土地のない人には、国王がプレゼントします。
・小さな子どもでも、英語ペラペラです。
・みんな、三世代、四世代の大家族です。(みんなで住むから、ブータンには老人ホームやデイサービスセンターもありません
新婚カップルの夜は、田んぼの中の小屋です。(大家族のやさしい配慮です)

・意外にも、離婚の多い国です。 (子どもは、妻側の大家族が面倒をみるので心配はいりません)
・葬式になると、忌引きで21日間休みます。冠婚葬祭で一番重要、死は来世への出発なのでおろそかにしません。
・ブータンに花屋はありません。花といえども生き物です。

☆ 日程表

 ブータン・インフォメーション

 ・正式名      ブタン王国      ・首都     ティンプー         ・宗教      大乗仏教
 ・国旗       雷龍         ・元首     シグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク     ・通貨      1ヌルタムが2円
 ・面積       九州とほぼ同じ   ・政体     立憲君主制         ・言語      チベット系
 ・人口       70万人弱     ・民族     2/3がチベット系、1/3がネパール系  
 ・経済   インド向け電力、観光、農業、木材                   
 ・公務員の平均給与  月2万円程度

   ☆ 出発! 進行!

      

    10/8 新千歳 13:30発〜成田16:55発〜タイ・バンコク21:25着  10/9 バンコク5:50発〜ブータン・パロ7:50着       タイの女性は奇麗です、ハイ。

 役所広司

 成田空港で役所広司に会った。すれ違いざまであったが、思わず「アッ、役所広司だ!」と口から出た。相棒も思わず見て「本当だ!本物だ」
 役所もこちらを見て「ニコッ!」と笑ったように見えた。あの鬚ずらの長身は親しみやすい。どうやらVIPルームの方に行くようだ。同じ機内に乗れば、話もできよう、と期待したがかなわなかった。女性の付き人らしき二人を従えていたが、女性は普通のオバサンであった。ガッカリ!

 先日、待ち合わせに時間があったので「一三人の刺客」を見たばかりだ。今が旬の俳優で私は大フアンだ。私も私の師匠と同じで、かなりのミーハーである。

 役所は千代田区役所に勤めていたので、芸名を仲代達也に「役所」にしろと言われたと言うエピソードが面白い。仲代達也の「無名塾」に、200人の中から難関試験を突破した実力者だ。

 すぐ近くにいた空港の女性スタッフに、役所広司を見たか?と言ったら、見ていない! 早く教えて下さいッ!と叱られた。美人に叱られるのも良い気分だった。

     

            成田からのタイ航空   ビール、ワイン  大サービス。                     機内食も美味しい!

      

            お馴染み、タイ空港の大魔神?                 こちら大美人!              ビールを飲めと攻められる。

  

タイの辛い麺、焼き飯も旨い。

         

           酔っ払いは朝まで、と言っても深夜2時には起きてチケットの好位置を取るため席取りで並ぶ。    ブータン・パロ行きのカウンター

  

              飛行機の翼にはブータンの国旗、龍が空に舞い上がる姿が。             日本の若い坊さん夫妻が、仏教の研究?

    

      スッチーの衣装はブータンの正装              飛行機はブータン国営 「ドゥク・エア」         タイの空港を発つ

  

            ブータンの機内食も旨い。                         飛行機の窓からはヒマラヤの白い頂が・・・

  

     ブータン・パロ谷に添って高度を下げてゆく。                       住宅がポツンポツンしかないパロ国際空港に。

                       動画  パロ国際空港   http://www.youtube.com/watch?v=gm7Bgg0n8Lo

   

             空港建物の壁には歴代5人の王様の写真が。               のんびり歩いて空港内へ   標高は2280m、大雪山より1m低い。

   ☆ タクツアン僧院

  

8世紀、ブータンに仏教を広めたインド人「パドマサンババ」は虎の背中に乗って飛んで来たと言う。
そのため、ここは「虎のねぐら」と言われている。標高3000mの高さに建ち、断崖の高さは500m。

観光の展望台はこちら側で2900m程度。車の駐車場からは歩いて2時間。さらに僧院に行くには一旦下り、滝の縁を通りまた昇り1時間半、かなりきつい高低差だ。
僧院の中は靴を脱ぎ、帽子をとり、カメラ類は預けて体を清めて? 厳粛な雰囲気だ。チベットの五体投地のようなお参りをガイドから勧められる。

  

民芸品を売る女性。しつこくはない。

    

     

                                   風にはためくダルシン(経文旗)                     ケルン

  

                         ルンタ(経文が印刷)

  

展望台から眺める。     

動画 タクツアン僧院   http://www.youtube.com/watch?v=TzB1NFY7sBc

    

タクツアン展望台にあるカフェテリア

  

                      ダリアと僧院                                  サルオガセが長〜い

    

          樹木にシダ類が生えている。                 僧院までの快適な道                   紅葉の時期

  

                 民家の階段                           この展望台からいったん下がる。

      

    

          ブータンの中学生                         いったん下がると滝の飛沫で清められる?

       

1998年に不審火、2004年に修復。とにかく凄い所に建つている。

  パロ市内

  

             10月は刈り入れ、この後は野菜を植える。 殆どが手作業。                    街の野菜売り場。

   

キチュ・ラカン〜ブータンの最初の寺院。こんな寒い所にミカンがなるのは聖地のパワーが働いているから、と言われている。

     

          ブータンのほとんどの家の屋根にはトウガラシが干されている。    今回のトレッキング・ガイドは28才の 「ビカシュ」(右)、 さわやか青年だ。

      

    パロの市内、落ち着いた雰囲気で素朴。      野菜売り場。野菜農家が持ち寄る。  唐辛子売り場。唐辛子は野菜だと言う。世界一辛い料理のブータン。

    

    指折りの「オラタン・ホテル」、今回はコテージに。            フロント                   バイキング料理

  

          バイキング料理、辛いのも沢山。                                   パロの遠景

動画:  パロ遠景  http://www.youtube.com/watch?v=Al6jLOuw15s

   ☆ トレッキング開始

  

                           野菜畑                                 トヨタ車で馬が待つ所まで行く。

      

 いよいよトレッキング開始。ガイドがコック、サブコック、馬方を紹介してくれる。そして7頭の馬たちにもどうぞよろしくと、挨拶して回る。目が素直で愛らしい。トレッカーが二人の場合はこのようなメンバーのようだ。だから山間ですれ違う時に馬の頭数を数えていると人数が把握できる。

 バックやザックは汚れないようにしっかりした袋に入れてくれる。ネパールとは違う。ポーターはいない。昔はいたようだが、農作業に影響が出るので、王様に頼み馬に変更したと言う。この辺がブータンらしい。

     

  

    パロの西、ドゥゲゾン(2570m)から歩きだす。移動距離14km、所要5〜6時間。         パロ川に沿ってのどかな田園地帯を行く。

    

  物珍しそうに子供が寄ってくる。こちらも珍しく見る。「グズザンポ!」(こんにちわ!)と挨拶。農家の三階は稲がら。玄関先には男性のシンボルが、魔除けだそうだ。

 ナイト・ハンティング・・・

 ナイト・ハンティングはブータン男性のたしなみと言うから恐れ入る。あそこの娘は気立てが良いとか、機織が上手とかの情報を聞いておき、ひそかに夜這いすると言う。時によっては先客がいて鉢合せをすることも多いと言う。夜這いの密会場所は3階の稲柄干し場らしい。

 よく狙われるのは、若い娘と後家さん、そして主人が出張中の奥さん。狙う方もスリル満点、狙われる方も期待しているらしい。

 妻問婚というのもあり、似ている。女系性、母権の強い民族に多い。一人の女性に複数の男性が通うことも多く、子供ができたら遺伝上ではなく、一族の長である女性が男性を選んで結婚させると言う。出来た子どもは女性の一族で育てる。結婚した男性を気に入らぬと放り出されるらしい。

 中国・麗江やチベットでもこの風習は残っている。ある国では、貧しく、3人の男兄弟が1人の女性を共有しているテレビ放送もあった。

 あるブータン男性に意地悪質問をした。あなたがする夜這いは楽しいだろうが、あなたの嫁さんが夜這いされるのはどんな気持ち?
男性曰く 「怖くて想像もしたくありません!」

 ブータンの前王様が、嫁さんとして姉妹4人を一度に迎えて子供も10数人。そのような国柄故に男女の間も幸福度90%以上 ? 

実にユニークな国である。

     

     稲の脱穀を手伝う少女。                     橋には経文を書いた旗が風にたなびく。            ピンクの蕎麦の花。

   

ネパールやブータンのような高所では蕎麦の花はピンク。素晴らしく奇麗だ。

    

       トレッカーはヨーロッパ人が多い。そして愛想がよい。だが、中国人も目立つ。愛想が悪くしかもうるさい。    川には建設機械が珍しい。

    

     脱穀は日本の昔に見られた足踏みの脱穀機。             あどけない少女。                    カカシもあった。

  

              10月は稲の刈り入れ時期。                            立派な施設もある。       

    

     ブータンの犬は殆ど同じ、公家のように目の上が白く愛嬌がある。      馬も一休み。                   懸命に歩く馬

 

  

     一般的な農。三世代10数人が住む。1階は動物、二階が人間、三階は稲の殻など(動物の餌)      つり橋を行く馬

    

      稲は刈った後、このようにして干す                            赤カブ             赤や黒のトウガラシ

    

                のどか                今日は初日なのでボックス弁当、旨い。           ナショナル・パーク入口

    

   赤い「アマランサス」(仙人殻)小麦に似ている。カラフルだ。           休憩地点                    ひょうたんのような花

ブータンでは標高2700mでも稲作が行われている。世界最高所の水田である。急斜面の棚田だから景観が良い。

ブータンでは九穀が育つと言う。ソバ、ダッタンソバ、ダイズ、コメ、コムギ、オオムギ、シコクビエ、アマランサス、アワである。他にトウモロコシ、ジャガイモ、ヤマイモがある。自給自足の平和の国だ。

    

 本日のテントサイト「シャナ」、2880m。テントはトレッカー2名で一つ、キッチンテント1つ(夜はスタッフが寝る)食事テント1つ、トイレ・テント1つ。

☆ 動画・・・馬 (クリック)

    

    荷物を降ろした馬は背中がかゆいのか、ゴロンゴロンと可愛い。      食事前のお茶タイム。クッキー、米の菓子、そしてブータン・ウイスキー。

                                      ☆ 動画・・・・・荷を運ぶ馬 (クリック)

夕食。ライスはまずいが、あとは素晴らしく旨い。今日はおかずが4品、しかも量が多い。

   

                   珍しい樹木で足がすぐ止まる。                           お茶タイム

      ☆ トレッキング・スタッフ

     

     ガイド:ビカシュ(28歳)は日本語堪能。             コック:ソナムはベテラン。               アシスタント・コック:カド

      

                             馬方:ゴンチエン           運転手(名前を聞くのを忘れた)、先生から転身。

          

白樺ではなく、赤樺です。

         

                 昼食はアシスタント・コックが背負ってくる保温食器で温かい。        いつもバイキング・スタイル。

    

  朝食はパン、お粥、卵料理、ハム、ジュース、コーヒー、紅茶    馬は朝に好物のトウモロコシ。              俺には朝飯がないワン。

     

         祈祷用の石組                      牛は3000m位まで                       それ以上はヤクが

 野生動物の楽園:ブータン

野生動物の楽園と言えば、アフリカ・アマゾンと考える人は多い。しかしそれはブータンである。何故かと言うと、ブータン人は決して動物に対して殺生はしないからだ。それは敬虔な仏教徒であるからだ。何しろ牛や豚を絞めるのでさえ眉をひそめる。イノシシが畑を荒らすが、銃や弓を使わない。どうするか? 結局寝ずに見張りをすると言うお国柄だ。

 だから鶏が少ないようだ。決して殺さない。効率が悪いので飼わないのだろう。肉類はインドから輸入されてくる。

 ガイドが腕を虫に噛まれても決して叩かない。死ぬからだと言う。そっと手に包んで逃がしている。何故か、輪廻転生でやがては自分も虫や動物に生まれ変わると信じているからだと言う。イヤハヤ・・・。

    

                         連日好天気!                氷河の濁流が轟音と共に流れる。

    

         エーデルワイスが一輪                    大岩を包む木                      ヤクの小屋

美味しそうな実、実は食べられないそうだ。

    

              ヤクが水浴び                      ヤクの糞            標高3880m、富士山より高い。

  

                          ヤクの親子                         ヤク犬はヤクを集めるのに訓練されている。

 ヤクはウシ科ウシ属の動物。

体長2.9m、体重500kg程度。高地に適応しており、体表は蹄の辺りまで達する黒く長い毛に覆われている。換毛はしないため暑さには弱い。肩がコブ状に盛り上がっている。オス、メス共に長い角をもち、長さは1mに達する。鳴き声は低いうなり声であり、ウシの様に「モー」とは鳴かない。標高3,500-4,500m程度の高地に生息している。糞は乾かして燃料として用いられる。

 ブータンでは、農耕用、乳用、乳から作るバターで、役に立つから名前がヤク?

☆ 動画・・・ヤク (クリック)

  

         三階の家には冬中食べる動物の餌であるワラが。                      農家の住宅拝見。

    

       ヤクの乳で作ったチーズ                         台所                     ヤクの干し肉

昔懐かしい薪ストーブ

    

                 母子                        赤カブ                     親子が野菜取り

         

      

        ヤク犬・・・旨いものくれ〜。              ヤクの子供                   経文を書いた旗

 

    

            旗の中を行くヤク                  白いヒマラヤの山が見え隠れ。                   小学校

☆ 動画・・・ブータンの小学校 (クリック)

  

            この村には1・2年生しかいない。天気が良いので課外授業。              上級生が教えている。

    

       いよいよベースキャンプが近い。              何やらオマジナイ。                    今は廃墟の城郭

 物 語

 昔々、ブータンには多数の王様がいたそうな。ここのお城の王様はわがままで、ここは山に囲まれ日が当たらない。だから、高い所に城を作り直せ、と住民に命令したそうだ。山の上に城をつくるなんて、技術も費用もないと住民は非常に困ったと言う。せかされた住民は止む無く、わがままな王様を殺して、チベットに逃げてしまったと言う。それからこの城は廃墟になったと言う。何事もほどほどに・・・。

チョモラリと廃墟の城郭とヤク・・・4010m地点から

  

        周辺には100頭近いヤクが。                             深夜、ヤクはテントの近くまで来る。一瞬熊? と間違える。

  

                   キッチン・テントの野菜。                            プロパン・ガスも馬が運ぶ。

早朝のチョモラリ、7314m。

    

          春の小川のようにサラサラと                   標高4010m                 こちらの川は広い

   

    

     今日は休養日、 日中スタッフは昼寝。         宗教上、登ってはいけないチョモラリ。              鳥が青空を羽ばたく

    

  休養日、4010mのベース・キャンプから4200m地点までハイキング。     ヤクが近くまで来るが臆病で逃げる。     近くに行くと臆病ゆえに危ない。

    

紅白の花

  

                      チョモラリ・レイク                             ガイドのビカッシユ

☆ 動画・・・ブータン・ガイドの踊り (クリック)

 ガイド「ビカッシュ」の苦労物語

 私は現在28歳です。兄弟は23歳の大学生の妹、13才と11才の妹がいます。母は幼いころに父と離婚して何処にいるか分りません。父は10年前に病気で亡くなりました。軍隊に勤めていました。
 親戚の世話になりたくないので、自分で働き兄弟を育てて来ました。疲れても家に帰ると掃除、洗濯、炊事・・・なんでもやりました。車の免許を取ってからは、給料の良いトラックの運転手、そして自分で高校にも行き、日本語を少しずつ習いました。

 少し余裕が出てからは、ホテルに勤め、縁があって今の会社 Zhidey Bhutan」(シデ・ブータン)に勤めました。日本人経営者の青木薫さんの会社です。
青木さんは女性ですが、非常に優しく、厳しく、何でも教えてくれます。いずれは青木さんのようになりたいです。

 23才の妹は直に卒業です。先生を目指しています。勤めたら少しでも手助けをしたいと言いますが、それは無用、残る兄弟の面倒は自分で見るので、幸せになりなさいと言っています。幸い、昨年愛する人と結婚しました。妻はまだ幼い兄弟のために献身的に尽くしてくれます。だから感謝しています。

 幸福大国ブータンだが、苦労無くして幸福はあり得ない、を教えてくれた28才のガイドです。身につまされました。


                                             一句出来た:ジョモラリ ほほを流れる 涙かな

  

                     昼食                                 氷河が融けた水に入るヤク

☆ 動画・・・チョモラリとヤク (クリック)

  

                         古城                              テントサイトの近くまで来るヤク

☆ 動画・・・古城(歌)

         

                        黄色い口ばしのカラス          二本目のウイスキーがコックから差し入れ。4000mで飲む酒はまた旨い。

  

 SOS  

 シンガポールから来た女性は、3日間歩いてギブアップ、女性や初心者にはここはきついコース。やむなく女性はシンガポールの自分が入っている保険会社にTELし、ブータンにはヘリが無いので、インド政府に要請、インドから2日目にようやく到着した。驚いたのはヘリが2機来たこと。もしもの時と言うことで、2機が飛ぶそうです。日中テントサイトを悠々と歩いていた女性、歩けなくなったら・・・ヘリコプター。 行けませんぞな。

☆ 動画  インドから来たヘリコプター (クリック)

 テントでの服装

 日中は暑く半袖。 しかし、寝る頃は寒い。何しろ4000mの高所、夜半には雪が降ってきた。
下着に長袖の上下、シャツと登山ズボン、ベストに羽毛上下、雨具上下、そしてカイロに湯たんぽ。寝る時はシュラフとシュラフ・カバー、帽子。
完全武装でした。寒いのでトイレに4〜5回、寝る暇がない。相方は深夜までウイスキーボトルを抱えていたようだ。

    ☆ 帰り支度

    

        ダッフル・バッグとサブザック               ブルー・シートも心強い。                    定番の朝食

    

色とりどりの花

    

                  紅葉模様                        カラマツ模様                  ブータン模様

    

  

芸術的サルオガセ

      ☆ 登山道

    

       

          

      

        ようやく3000mまで下った。            アシスタント・コックは皆このザックに昼食を入れる。 保温の入れ物から5段重ねの食事ケースが

     

       温かいバイキング料理                      温かい飲み物も                 ネパールにはないアイデア

   

    

   ブータンはマツタケやキノコがたくさんとれる。昨日はそのマツタケが沢山出された。   山ブドウのような。           山吹のような。

    

        これは馬の糞:饅頭?のようです。                             花・ハナ・はな

   

                       ブータンの人々は写真を撮られるのが大好き。                    家の門にはヤクの頭が。

     

           アーミーのチェックポイント           事務所のこの箱には岡本の・・・ エイズ対策で無料。   ようやく住宅が見えてきた。

    

           ヒマラヤの水は無料。               ヒマラヤの水で電力は豊富。              大きな石と喧嘩する相方

    

      大石に落書きされた男性のシンボル。                ひまわり                   ブータンの木は計画的に輸出。

  

               牛を使った農作業。                              紅葉が始まった。

    

             珍しい鶏                      会談は木をくりぬいて使用。                  何でしょう?

    

       隣との境界、馬が出ないための柵。               これから野菜を植えるそうだ。                   菜種

      

           村の商店          テレビもある    写真を撮ってくれとせがまれる。ブータンにはディジカメがまだ無いようだ。

    

      簡易テントサイト、明日はここから2時間で登山口。     ブータンの親子            焚き火。トレッカーは最近禁止になった。

      

     標高2600m      近くの商店からビールを買ってきてもらった。1本100円。                     カラフルなブータン模様。

    

       牛肉とマツタケ。                       スープは川ノリ、美味しい。        日本からの持ち込みアラカルト

    

           山ガールもいた。          ようやく下山、タイガー・ビールで乾杯!    土産物屋の玄関、若い娘と壁には男性のシンボル。

    

                運転手がお迎え。                    パロの飛行場からは1時間程度で、首都ティンプーへ。

ブータンはどこへ行っても山・山・・・

   ☆ 首都・ティンプーへ

    

       右へ行くと8時間でインド、左はティンプーへ。三叉路。      テインプー郊外は建築ダッシュ。           大きなビルも見えてきた。

  

             ティンプー市内の時計台。                        一番の繁華街はお巡りさんの手信号。信号機は1個もない。

    

              制服の子供たち。             小学生?アイスを片手に。幸せ?        唯一の映画館。人気がある。

    

            ビル                     女子高生  ティンプーのホテルは「ホテル・プンツォペルリ」バーの姉ちゃんは奇麗だった。

    

            ホテルのレストラン                久しぶりに冷たいビール。                  昼食なのに豪華。

    

         露天の野菜売り場                          タクシー                      たくましく店を並べる。

    

唐辛子はブータンでは野菜。世界一辛いブータン料理。

    

  

ブータンで1件だけのボーリング場。

    

☆ 動画・・・交差点のお巡りさん (クリック)

    

         建物の足場は竹が使われる。             性的な要素を取り入れたブータン仏教。         仏像の顔を彫った民芸品

    

                            仏画:高い。

 

スパーのレジ。パソコン使用。

  ☆ ブータン・ティンプーでの夕餉

     

     ビルの最上階にある完全予約制レストランへは専用エレベーター。    名前は「オーキッド・レストラン」         蕎麦や魚料理もある。人気店。

     

                          ブータンの焼酎「アラ」                    やはり料理は人気店だけに旨い。

     

         左は大阪から来た和服の踊りのお師匠さん。痛いほど注目されていた。   左がガイド:ビカッシユ、右端が青木薫さん、トレック会社の社長の奥さん。

  

 記念写真

 

☆シデ・ブータンのホームページ http://www.zhideybhutan.com/ (クリック)

                        

                        社長:Jurmey Tshewang (ジュルミ ツェワン)さん     奥さんで、コーディネーターのAoki Kaoru (青木薫/あおきかおる)さん

    

     ホテルのフロントにも国王の写真                                  宿泊の「ホテル・プンツォ・ペルリ」    

    

手織り工房

    

                            服には興味がニャ〜

☆ 動画・・・テインプー市内遠景 (クリック)

  ☆ 王制百周年記念市場

    

2階建て。1階にはインドからの野菜が並ぶ。2階は地元、ブータンの品物。

    

             ナス                                                    キノコ

    

カボチャ

    

    

    

とにかく広い。7万人の胃袋に収まる。

    

           坊さんも買出し                      ヤクの肉                       腸詰め

    

                    チーズ                             これもチーズ

 

    

         ヤクの皮、スープに使用。                    お香                          線香

    

                               噛みタバコ                      この異様なものを使用

    

この粉と上の異様な物を入れてこの葉っぱで包む。噛んでいると赤い汁が出る。噛み終えると吐き出す。道路には赤いものがあちこちに見える。

    

トウガラシなどの香辛料。昔懐かしい天秤の秤。

    

       靴屋のようだが、両替もしてくれる。    コディネータの青木さんお勧めの民芸店 「ドド」  店主夫妻が手作り、誠実さが伝わる。値引きもOK。

店ごと買占め? 中国人じゃありませんからしませんね。

  

当日のブータン新聞。王様が大学の卒業式に出席、席上学生が「王様、いつ結婚されますか?」 の質問をして、王様が唖然として答えに窮したという報道。

    

                警官                  市内中心部の時計台      民芸品店のサービス・スイーツ

     

                            幼い看板娘                   ポーズをとる少女

     

   運転手の額にはお祭りのおまじない           ブータン最大・最高級のホテル「タージ・タジ」              国会議事堂

    

          タンチョ・ゾンは国王のオフイスであり、ブータン仏教界(ドウク派)の総本山。    ガイドは経緯を表して正装。セキュリテイも厳しい。

☆ 動画 タンチョ・ゾン(ブータン仏教の総本山) (クリック)

    

宗教画

    

             お坊さんが多数                         屋根には魔除け?                            庭の柑橘

    

            トヨタ車で移動           ブータンの病院:以前はブータンでは病気になると病院よりもまずお寺に行き、お祈りすることが当たり前。
                                東洋医学を大事にして、漢方、チベット医学の薬の供給地として知られ、高山植物を採取している。

    

ブータンで最も人気の娯楽が映画。常に映画館前には人だかりがある。

  

若いお坊さん&若い娘さん。

    

      ガソリンスタンドはインド系。                   ティンプーの出入り口門               お巡りさんのチェック

   ☆ 弓は男のたしなみ

     

130m先の的を射る。見ていても途中で矢が消えてしまう。

 ブータンの弓は国技。男性のたしなみである。同じく男のたしなみに「ナイト・ハンティング」(夜這い)もある。

130m離れた敵の陣地の的に当てるスポーツで、映画・夜這い・弓は三大人気らしい。

 

☆ 動画・・・弓を引くブータン人 (クリック)

   ☆ 民家泊(パロ)

   

パロの市街地シャリ村の農家に宿泊。築300年で木の床は黒光りでつるつる光っている。まずは階段で2階へ。

    

仏間は素晴らしく大きい。                         通された二人部屋は布団が何となく艶っぽい。  

   

       ご主人は優しそう、食事はご主人が作る。          奥さんは石焼風呂が担当。                     息子はイケメン

       

                            日本の鯉のぼり。                     三種類の菓子

屋根には大量のトウガラシを干してある。

    

       稲を刈り、干してある。                  牛も4頭、モオゥと挨拶してくれる。      犬は3匹疑い深そうな眼!

      

             石焼風呂の石焼小屋。熱い石を湯船に3個程で水はあっという間に熱くなる。   6つの木の湯船、中には体に良いと言うヨモギの葉が。

  

豚の白身が多いが美味しい豚肉、芋のサラダ風、野菜の煮込み風、唐辛子の煮込み。辛い。

    

        アラという焼酎。淡泊。             たくさん食べろと主人は迫るが・・・辛くて。       朝ごはんは混ぜご飯。旨かった〜。

     

空港ロビーにある歴代の王の写真。

    

さようなら〜、ブータン。一時でも幸せになれました。有難う。

☆ 動画・・・ブータン国際空港を離陸 (クリック)

  

                   機内は満員                                   翼は青空向けて、一路タイへ。

    

またまた乾杯ッ。

  

タイの国土は整然と美しく。

☆ 動画 タイ空港  (クリック)

  

                            タイの空港も大きい。                     お姉さんも美人。

  

南国プーケットの飛行機。楽しそうな絵が。

  

またまたタイの麺で乾杯ッ。

タイの空港

 期待以上のブータンであった。懐かしい昔の日本に里帰りしたような錯覚さえ覚えた。敬虔な仏教徒で殺生は絶対しない国民性。王さまが何でも良い事は率先垂範の国で、民主化も王さまが提案して実行する国。禁煙の国。しかしナイト・ハンテイングなどという事も平気で行う国。唐辛子を平気で野菜として食べる国民。驚かされることが多かった。

 近代化をせずに、ゆっくりと文化を大切にしてほしいと願う国であった。機会があれば再度訪れたい国NO1である。         終わり

                                     参考文献  ・幸福大国ブータン       ドルジェ・ワンモ著     日本放送出版協会  
                                             ・美しい国ブータン       平山修一著         二見書房
                                             ・森とほほ笑みの国ブータン 大谷映芳著         木楽社
                                             ・ブータンどこいくの?     奈良坂智子著       ジュラ出版局
                                             ・幸福王国ブータンの知恵  アスペクト著         アスペクト
                                             ・21世紀仏教への旅      五木寛之          講談社
                                             ・幸福立国ブータン       大橋照枝          白水社
                                             ・ブータン            地球の歩き方
                                             ・ブータン            ウィキペディア

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