2012年8月、高倉健主演の映画 「あなたへ」 が上映されたので早速見てきた。期待通りの映画で感動した。監督 降旗康男との黄金コンビである。実に21作目であるという。そして高倉健205本目の映画である。

　「単騎、千里を走る」は同コンビで6 年前であるから、高倉健は既に８１才、もう銀幕には戻ってこないのであろうか、とさえ思わせた。
久しぶりに見た健さんは相変わらず健在であった。長身でスラリとして、後ろ姿、歩き方、物言わずジッと物思いにふける、相手に喋らせる寡黙な男・・・どれも格好がよく素晴らしい。
　高倉健とその妻役、田中裕子は表情のみで心情を語る抑えた演技は、どの映画でも見る者の胸を打つと言われる。

　そんな健さんでも、昔の面影からは少し割り引かなければならない。声の質が変わったのと頭髪、さっそうとした歩きが期待できなくなりつつある。鉄道員（ぽっぽや）、駅STATION などのイメージが忘れられない。
　無理な話だが、やはり健さんは健さんで永遠にいてもらいたいのだ。フアンは欲張りなのである。

　画像を追って映画の素晴らしさと、懐かしい昭和の時代、とり分け男ヤクザ映画を懐古してみた。

富山から平戸へｷｬﾝﾋﾟﾝｶｰで旅をする

生前の奥さん役 田中裕子の演技がこれまた良い

好演技を指導する降旗康男監督

　高倉健と降旗康男監督の映画は21作に及ぶ。代表的な作品は、
網走番外地シリーズ、駅 STASION、居酒屋兆治、あ・うん、夜叉、鉄道員（ぽっぽや）、ホタル・・・

　監督 降旗康男を始め、映画の監督業は素晴らしい能力を持っていると思われる。役者に、しゃべり、無言、後ろ姿で観客に悟らせる、笑わせる、怒らせる、恐怖を抱かせる、文字通り喜怒哀楽を役者を通して訴えるのである。

　降旗康男監督は東大文学部卒、東大というところはヤクザ映画の監督養成所でもあるのかも知れない。監督業の多くに東大卒がいる。

　私は、いや昭和の一時代の若い男どもの娯楽は映画であった。それもヤクザ映画ばかりである。女性ははロマンチック映画を求め、男はヤクザ映画を求めて、その結果喧嘩をし、別れたという話は結構多かった。

　映画館の客は学生、サラリーマン、本物のヤクザ屋さん・・・、ヤクザ映画を見るのが楽しかった。健さんが網走番外地で格好良く出てくると会場のあちこちから 「待ってました、健さん！」 と声が出る。会場はもう健さん応援団一色である。

　映画が終わり、会場を出た後の男どもの歩き方は、健さんになりきって肩をいからせて歩いている。全員が健さんなのだ。

ビートたけしは高校の先生役

網走番外地シリーズ１９６５年頃、まだ３４才

１９８１年５０才の映画「駅」

　「あなたへ」共演者

　・ビートたけし・・・・・高校の国語教師役。種田山頭火の句集「草木塔」を健さんにプレゼントする。彼もｷｬﾝﾋﾟﾝｸﾞｶｰで旅を
　　　　　　　　　　　　　している。
　　　　　　　　　　　　　「分け入っても分け入っても青い山」を知っているか？とたずねる。また、自分は退職し、放浪の旅を
　　　　　　　　　　　　　しているという。ところで旅行と放浪はどこが違うか知っているかとたずねる。行き先があるのとないので
　　　　　　　　　　　　　決まると言ってけむにまく。ところが・・・

　・田中裕子・・・・・・・妻役。出会いは刑務所で歌を歌い慰安をする歌手。劇中で披露する「星めぐりのうた」（上の動画参照）は
　　　　　　　　　　　　　聴かせる。演技もうまい。

　・草なぎ剛・・・・・・・・演技がうまくなりましたね〜。以前泥酔して素っ裸事件をおこして以来。文字通り一皮向けたのでしょうか？

この映画もよかった〜

日活のドル箱スター小林旭

鶴田浩二の渋さも良かったですね〜

石原裕次郎は歌もうまかった

昔はこんなに若かった　渡哲也

インテリヤクザが似合った高橋英樹

　私の自慢・・・

　小樽の、とあるホテル。深夜１時頃大浴場でロケで来ていた高橋英樹、渡哲也とばったり出会う。
他に客は誰もいない。まさに裸の付き合い。昭和４５年頃であるから二人共若くカッコが良い。

　高橋英樹は日大芸術学部卒、渡哲也は青山学院大学空手部出身で、共に背が高く男が見てもカッコよすぎる。

　こちらも背は低いが若く、カッコは負けず、と勇んで「コンチワっす」と挨拶をした。何と丁寧に挨拶を返してくれた。
ロケで来ているのです、小樽は良いところですね〜・・・話が弾んだ。

　この話をすると、仲間にお前はミーハーだと笑われる。だが、青春時代の想い出のページである。

黒澤明監督

三船敏郎

　8月、テレビのBS「WOWOW シネマ」で朝7：00から「石原裕次郎一挙放送」が上映されている。懐かしい映画ばかりである。
いくら「毎日が日曜日」の私でも、午前中4 時間も時間が取られると予定が立たない。

　おまけに夜は9時から11時頃まで、黒澤明の映画が連日放映される。今更黒沢作品云々講釈は必要ない。再度見ないとあの世で閻魔様にしかられるかも知れないと眠い目をこすりながら見ている。数十年経過しているが、黒澤作品は退屈をさせない名画だ。だから今夜も・・・
　テレビなど普通見たこともないが、テレビ局にリクエストしておこう。次は健さんをよろしく！と。

映画「草の乱」

神山征二郎

主演の緒形直人

杉本哲太

　この映画が上映された2000年代、映画製作のボランティアを依頼され、10日間ほど協力した。
通称ボランティア団長が、私の師匠でもあり山仲間でもあり飲み友達で悪友でもあった。ロケ弁を食べて、映画製作を見ているのは楽しいことだ。

　埼玉県の秩父神社での撮影シーン、我々は貧しい農民で一列横隊に並ぶ。メークさんが我々の所まで来た。ホ〜ウ、我々もメークしてくれるのかと一瞬喜んだ。しかし、メークさんはしゃがんで足にドーランを塗りだした。皆さんは足しか映りませんので・・・。映画を見た、誰の足か分かるはずがない。トホホッ！

　もう一つ。どうして私が選ばれたか分からないが、8000人のエキストラの中からエキストラ主演？に私が選ばれた。だから私は緒形直人や杉本哲太と待合室で同室、挨拶もした。だから同期生と考えている。相手がどう思うかしれないが・・・

メーキャップとカツラをして、衣服も高価そうな商人服、そして助監督が車で送り迎え、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さらに神山征二郎監督が自ら演技指導。何故・・・続きはこちら

映画は実に楽しい。見ても出演しても・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり