会報文     稲包山

                                                                               平成163

 

「素晴らしい山があるんだが・・・、先ず三角形を想定して下さい。そう、ピラミッドみたいな山なんだよな〜。

底辺の右をA、左をB、そしてピラミッドの上部分がCとなる。」と、Tさんは美味そうに酒を舐めながらさらに講釈が続く。「このA地点とB地点の頂上を挟んで縦走するんです。当然AとB地点には超有名温泉があるんですヨ、ルンルン♪。Aは法師温泉、Bは四万温泉」酒のうまさと温泉の素晴らしさに二人は桃源郷の世界、文字通り「浮世を離れた別天地」に酔いしれていた。

 三年前の平成十三年十月、法師温泉に泊まり、四万温泉「湯の泉」(ゆのせん)の野湯に浸かる。C地点の稲包山は割愛し、CとAとBの合流点の赤沢峠でお茶を濁して、タラフク酒三昧に終わったのでした。

 あれから三年、平成十六年三月二十日、真冬の厳冬期にアルパインとはいかないが、稲包山の雪山山行です。

法師温泉側からS隊、四万温泉側からk隊。それぞれ五万人?の中高年中心の大部隊を率いての赤沢峠近辺での野戦ならぬ飲み食い合戦。  

宴会は始まった「♪オ、ワン(お椀)ダセイ(出せ)、♪チャ、ワン(茶碗)ダセイ、♪オ〜ワンダセ、チャワンダセ〜・・・」『この二つの言葉のみを、何度も交互にリズム良く聖者の行進風に歌って下さい。出来れば、茶碗とお椀を箸で叩きながら歌うと盛り上がります。』 

 

S隊長は私に食当をせよ、尚食材は軽い物に、とのご命令です。隊長の命令には絶対服従あるべし、・・・考えた。

そうだ、キノコだっ。買った、買った、こりゃ買いすぎた!調味料も含めて六キロだ。隊長はムッとしたかも?

T会長宅六時、二台の車は出発。我々一台は奥四万湖の登山口へ九時半。十時に十五キロ以上のザックを担いで出発。

のっけから急登、三十分で私はギブァップ。膝の故障で札幌の整形外科で手術したため、二ヶ月は山行中止。今回がリハビリ山行であったが寄る年波とリタイアした軟弱生活の余波には勝てなかった。

上神さんと三浦さんが荷物を一部、分散してくれるという、有難い! 上神さんは文字通り神さんだ。三浦さんもエンゼルに見えた。ついでに側にいた宇田さんにも、否応なしに遠慮なく押し付けた。立っている物は親でも使え? 有難う御座いました。 

   

途中半ば頃から硬い雪でアイゼン・ピッケル必携。慎重を期す核心部を通過し午後一時、テンバの1、475mに何とか到着。三十分後にT隊も到着。

まだ一時半、のん兵衛軍団は思慮深く語り出した。こんなに早く飲み始めると酒が続かないよな〜、でも飲むか〜。

私は見てたのでした、小島さんが缶ビール大を四本も担ぎ上げたのを。そしてT重、S古、U田さん達のウイスキー500MLのボトルまでも…

 春一番、フキノトウとカンゾウの前菜を後藤さんが手際良く作ってくれる。K原塚さんがマメにツマミを揃えてくれる。それを見て高野さんがミロのビーナスのごとく微笑んでいる。日本の台所風景はやはり平和である。雪の上に転がしておいた冷えたビールで乾杯!!!美味い。

「余談その一」

 手術後のリハビリを兼ねて、2月に東ヨーロッパのツアー旅行に参加しました。ドイツ、チェコのビールの美味さに感嘆の連続でした、特に黒ビール。ドイツにおいては、ビールは酒ではなくて食料品「飲むパン」という表現さえあるほど、ドイツの生活とは切っても切れない必需品であり、銘柄は6千種もあるという。

別働隊T重さんの本日のメイン・ディッシュは特製カレー、匂いも良ければ味も良し。何を食べてもこの人の料理は旨い、感心。

対するS古班の食当はワ・タ・ク・シ。

命名「キノコたっぷりヘルシー具沢山大盛鍋」。石鎚を取って用意すると、

スーパーの袋に山盛二つにもなった。皆さん目を白黒させながら頑張って無理してお食べ頂いたのでした、ダンケ。

 夜は満天の星空、人工衛星から手を振っているのも見えた。猿ヶ京温泉と思われる夜景がまた素晴らしい。百万ドルとまではいかずとも十万ドルの夜景、その夜景を瞼にしまい九時過ぎにはおやすみなさい・・・zzzzz。

三時半起床、七時頂上向けて出発。ガリガリのアイスバーンやナイフリッジを慎重にこなして雪山らしさを体験する。樹氷が太陽に反射してキラキラと輝く、まさに至福、この上ない幸福である。 


 

頂上直下から見る頂上は円錐形だ、誠に綺麗で神々しい。

ピラミダルな山容を誇り信仰の山と言われているのが頷ける。八時山頂。

1、598mの山頂からは360度の好展望。谷川の仙ノ倉や平標山、浅間山、中央アルプス、富士山、榛名、赤城、白根、苗場と続く。

 それぞれ二隊はテン場から、元来た温泉地の登山口へ。

我々S古隊は「湯の泉」へまっしぐら、だが車が約十台、こりゃ満員で駄目だ!。

「余談その二」

 インターネットの書き込みに何と622件の「湯の泉」紹介があった。もう隠れ湯では無くなったのです。その紹介がユニークなのです。

・場所・・・群馬県中之条町                                   

・泉質・・・不明(多分、単純泉)

・効能・・・不明

・時間・・・24時間入浴可

・料金・・・無料

・TEL・・・なし                         

・設備・・・何もありません

・休業日・・・なし

その他の論理的、科学的、学術的解説や地図等は、T東悟温泉部長へどうぞ・・・。

止むを得ず、温泉は四万温泉本家、町営の「清流の湯」500円、露天風呂付、効能ナトリウム・カルシウム塩化物硫酸温泉にて心癒して綺麗さっぱり。

 その後はお決まりのビールにカツ丼、寿司・・・満足。

食べて飲んで、交通費・観光・登山・温泉・グルメ研究・おしゃべり発散等々、一泊二食付七千円は安い!。

大変良い所です。月千円の格安入所費の有料中高年福祉施設「OO山岳会」万歳!

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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