南アルプス縦走

(北沢峠〜仙丈ケ岳〜伊那荒倉岳〜横川岳〜三峰岳〜間の岳〜北岳〜八本歯ノコル〜広河原)


2009年8月、山仲間が、仙塩尾根を歩くと南アルプスが全てつながると言うので付き合い山行をした。雄大でとにかくでっかい南アルプスは久し振りだ。天候不順で前日までは雨模様であったが、4日間は好天であった。4日目の下山後に台風の影響で雨が降ったが、難を逃れることが出来て素晴らしい山行であった。しかし連日10時間の行動はかなりハードであった。


      

東京から車で概ね5時間、夜叉神峠で車をデポ  南アルプスバスで広河原へ、平日とはいえ数十人がバスを待つ。  仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳の登山口、北沢峠へ。

  

          

     北沢峠・長衛荘は食事が良く人気の山小屋        戸台口と広河原の両方から大勢の登山者が      森林にはシラビソが


  本州の山は、北海道と違いエキノコックスの心配が無く、沢水が飲めるので安心である。伏流水で何とも冷たい美味しい水は有難い。


         

 大滝ノ頭 五合目、右側の馬の背ヒュッテへ    今夜は「馬の背ヒュッテ」、ログハウス調。夕食はカレー。胸に刺青のお姉ちゃんは美人。  翌朝は5時半スタート

  

 大カールの真ん中に仙丈小屋が建つ、その奥が仙丈ケ岳      万年雪から流れる水が美味い     青空に仙丈ケ岳(3033m)の看板が引き立つ


仙丈ケ岳は、その優しいカーブを持った稜線とカールから、南アルプスの女王と評される。一方、対峙する甲斐駒ケ岳は勇ましくどっしりと構え、いかにも男性的で、山の団十郎とさえ言われている。また右となりの魔利支天がより甲斐駒を引き立たせている。仙丈ケ岳方面から見る甲斐駒ケ岳は、場面を変えて迫ってくるようでなお迫力がある。


        

  仙丈ケ岳から見る富士山。北アルプスの槍ヶ岳、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳など360度の眺めである。    手に取るように迫る甲斐駒ケ岳     

           

      

          高山植物が咲き競う                 山小屋では珍しい女性オーナー1人と猫3匹。           仙塩尾根はアップダウンが多い


両俣小屋は、北岳を源流とする野呂川の「左俣沢」、間の岳を源流とする「右俣沢」の合流地点の川の側に建っている。仙塩尾根の野呂川越(2315m)から急坂を下る事300m下の標高2000mにある。川の音がザァツ、ザァーと小気味良く、夜はリズムにのり疲れた体が睡魔に襲われすぐ眠りに付く。

この川は渓流釣りで有名だ。南アルプス林道まで片道2時間強と便利な地点にあるせいであろう。ユニークなのは川の名 「野呂川」 といい、本当に「ノロイ」名前な事。しかし、ノロイ川も北岳を回りこんで、農鳥岳を源流とする荒川と合流する頃から、その名は打って変わって 「早川」 という名前に出世する。そして更に静岡県では 「富士川」 として太平洋に注がれる。 富士川は日本三大急流(他は熊本県の球磨川、山形県の最上川)の一つである。のろい川も急流となる。何か出世魚のような川である。


      

 600mの急坂を越えると、間の岳は更に200m上の前方に   仙丈ケ岳と塩見岳の中間地点、「熊の平小屋」が森の中に見える   標高第4位の「間の岳」

      

     三峰岳(みぶだけ)に登るには垂直の鉄ハシゴ、そして間の岳や北岳周辺は岩稜のガレバが続く    間の岳から下ると「北岳山荘」(2884m)が見える

  

一瞬の、雲の切れ間から北岳頂上が見えた


北岳山荘

       

                入口                          受付=1泊2食で7,900円                           売店   

     

       

     自動販売機、ビールは500円、生ビールは1,000円     食堂、1回転30人程度、この日は3回転       朝食(鯖、卵焼き、サラダ他、長いもは共同丼


北岳山荘のスタッフは礼儀正しい。ハキハキ答え、非常に親切だ。山小屋の多くは「山や」らしくぶっきらぼうで、ともすると「泊めてやる!」方式が多いように感ずる。何故ここは礼儀正しく親切なのか? 食堂で1,000円の生ビールを飲みながら、ジッと観察してみた。 責任者らしき男性が電話片手に予約を受けていた。丁寧である。トムラウシ遭難事故で9人が亡くなって間もないせいか、「帽子、手袋、防寒具、雨具を必ず携帯してください。」と重ねて案内している。言葉の節々から人間性が感じられる。

他の従業員の全てが「有難うございます!」「気をつけて!」 と、下界の人間より人間性を感じ、ほのかな気持ちになった。いまやヘリコプターで食料やビールを小屋に運ぶ時代、接客態度までヘリで運んでくるわけではなかろう。 トップの人間性がいかに重要かを考えさせられた。 ちなみにこの小屋は南アルプス市の経営だ。

米は圧力釜で炊くので非常に美味しい、水も近くに水源が無いので、1人1リットルまでは無料で後は有料、夕食は魚の煮物、肉じゃが等5品ほど、下界で食べるより美味しい。 

しかし、以前泊まった時はお盆時期で、定員150人の所を300人以上で、最後に到着した人達は布団も無く、場所も無く、階段の一段一段に膝小僧を抱いて仮眠していたり、トイレの前にまで並んでいた。 山小屋は絶対に断らない。命と言う人道的配慮を考えるからだ。 それにしても配慮+人間性=九死に一生の時は、手を合わせたくなるだろう。


         

     本棚には山の本がどっさり         小部屋は8人、大部屋は数十人、混むと布団一枚に2名   昭和大学の医学部学生と教授も、無料で見てくれる


            

                      富士山に継ぐno2の標高 3193m 北岳                         頂上直下は鎖と鉄ハシゴ

    

       下山は、八本歯ノコルから左俣コース。ハシゴが10箇所以上?快適なコースだ。        左側には「北岳バットレス」を登る登山者

           

                               大樺沢の大雪渓                                広河原の釣り橋を渡ればバス停


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