モロッコの旅
ハンフリーボガードとイングリッドバーグマンの名作カサブランカ サハラ砂漠でラクダ体験 モロッコ名物 水売り
2009年3月アトラス山脈とサハラ砂漠そしてカサブランカで有名なモロッコの旅を計画。 成田出発の日は、関東地区大荒れで電車が大幅に遅れ、飛行機の乗客がかなり乗れなかったようだ。また、帰国の日、成田空港でアメリカの貨物飛行機が着陸に失敗し2名の操縦士が死亡し、成田開業以来始めての死亡事故であり、急遽羽田に着陸したが、一時ははどうなる事かと恐れた.が何とか。
アフリカには登山の海外遠征、または観光でタンザニア、ケニヤ、エジプトに行っており、今回のモロッコで4カ国目である。アフリカは治安が未だ良くないが、モロッコは安全である。以前、フランスの統治国であったためか、観光客は圧倒的にフランス人が多かった。次に多いのが日本人である。
● アフリカ・ワンポイント情報
・ 面積 世界の22% ・ 国数 53カ国 ・ 人口 9億人 (人口ランキング=中国13億、インド11億、アフリカ全土9億、米国3億・・・・日本1億)
・ 1日1ドル(100円程度)未満で生活する人、全体の41%) ・ 平均寿命 男48.8才 女50.2才 ・ エイズ感染率が最も高い地域
・ 15才以上の識字率 63.3%と低い(世界のワースト:ベナン〜39.8%、 ネパール〜48.6% 参考:日本99.8%)
● モロッコ ・ワンポイント情報
・ 正式国名 モロッコ王国 ・ 面積 45万Km2(日本の1.2倍) ・ 人口 3,300万人(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を合計した人口と同じ)
・ 民族構成 アラブ系65%、ベルベル系(原住民)30% ・宗教 国教はイスラム教(スンニ派)
・ 言語 アラビア語、フランス語他 ・通貨 ディラハム (1ディラハム=12円 2009年3月現在)
● 周遊都市
日本・成田〜フランス・パリ(所要時間 12時間45分) パリ〜モロッコ・カサブランカ(3時間)
カサブランカ(アフリカ最大の貿易港)→ラバト(首都)→メクネス(古都)→ヴォルビルス(ローマ遺跡)→フェズ(迷路の街)→イフレン(モロッコのスイス)→ミデルト(アトラス越
え)→ズイズ渓谷(ナツメヤシのオアシス)→エルフード(サハラ砂漠の入口)→メルズーカ(サハラ砂漠とラクダ乗り体験)→トドラ渓谷(断崖絶壁)→ワルザザート(カスバ街
道の街)→アイト・ベン・ハッドウ(カスバの街)→アトラス山脈越え→マラケシュ(モロッコの縮図)→カサブランカ
● モロッコの世界遺産(8ヵ所)
◎ フェズ・エル・バリ(フェズ) メディナ(旧市街)
◎ マラケシュのメディナ(マラケシュ) メディナ
◎ 古都メクネス(メクネス) 古代建物群
◎ アイト・ベン・ハッドゥ(アイト・ベン・ハッドゥ) カスバ(城壁)
◎ ヴォルビリス(ヴォルビリス) 古代ローマ遺跡
○ ティトゥアンのメディナ(ティトゥアン) 真っ白な家並みの街
○ エッサウイラのメディナ(エッサウイラ) 白と青の美しいメディナ
○ アル・ジャディーダのポルトガル都市(アル・ジャディーダ) ポルトガル人によって作られた海辺の砦
( ◎印は今回観光 )
カサブランカ
カサブランカは人口367万人モロッコで最大、次いでラバト120万人、マラケシュ66万人、フエス50万人と続く。
アフリカ最大の貿易港を持つカサブランカは、最大の経済都市でもある。国の経済を支えるリン鉱石(世界の75%を埋蔵)や、農産物(麦、ジャガイモ、トマト、オリーブ、メロン)、水産物(タイ、イカ、いわし)、特に水産物は日本にも多数輸出している。そして工業(繊維、革製品)とここカサブランカの港から運ばれていく。
カサブランカ・ホテル前のヤシの木 カサブランカは白い建物が多い 宿泊ホテル、リボリ
ハッサン2世モスク、1993年、8年がかりで完成したモロッコ最大、20世紀最高の芸術作品であるモスク(礼拝所)。高さ200mで世界第3位(1・2位はエジプトのモスク)、全敷地には8万人、内部には2万5千人が収容されるという。ミナレットのダンゴ三兄弟(?)は現世、来世、神の世を表しているらしい。
驚嘆するのはモスク内には、浴室、カフエ、神学校、図書館、博物館がある。床は礼拝のために、床暖房まである。このモスクのために高い税金が取られているが、イスラム教信者はどのように考えているのであろうか。毎日アザーンという町中を大音響で鳴らすお参りの合図で床にひれ伏す信者を見ていると、不思議な感覚を覚える。1回目は早朝の5時前後である。ホテルの部屋にも聞こえてくる、慣れないうちは何事!と思われる。
モロッコの観光地には水売りがいる。水はあまり売れないので、写真を撮らせては5ディラハム(60円)を請求する。 カサブランカのメディナ(旧市街)、アメ横の数十倍?
カサブランカの花
貸し切りバス8泊9日、1442Km乗車時間合計24時間。オアシス、砂漠、アトラス山脈越え退屈はしない。運転手と補助は現地住民のベルベル人。アトラス越え
で、イロハ坂のようなきわどい絶壁をまかり間違うと数百m下に転落しそうな所を巧みにスピードを落とさずに運転する。 乗客は足と手を踏ん張って緊張する。
ラバト
ラバトは静かで落ち着いた雰囲気の街だ。ヤシの並木が続く通りや、緑豊かな公園が広がる。フランスの保護国であったためか、フランス風のお洒落なレストランなどが多く、フランスを旅しているようでもある。一方、遺跡や古代の城壁など歴史が刻まれてもいる。
フランスから独立を勝ち取ったムハンマド元国王の墓。真紅の衛兵が守る。 ハッサンの塔、未完ながらも44m ウダイヤのカスバ(城壁と城塞)
ヤシの木とラバトの市内
メクネス
美味しい水とブドウ、そしてオリーブなどの農業地帯である。メクネスワインの名産地。
メクネスの穀倉地帯、春の花が咲き乱れていた マンスール門、北アフリカで最も美しく有名。イスラム教に改宗したキリスト教徒マンスールが設計。色彩が素晴らしい。
レストランの天井や壁もイスラム模様 陶器もモロッコ風 モロッコは大西洋、地中海に面し、魚が豊富、今日はイカ飯。
城壁や城門にはコウノトリの巣が ムーレイ・イスマイル廟(イスラム文化の代表傑作) メクネスの街
ヴォルビルス
モロッコに現存する最大の古代ローマ遺跡。 紀元前40年にローマ帝国の属国となった町で、当時は2万人が住んでいたという。敷地内には凱旋門、神殿、公共広場、浴場、邸宅、礼拝堂、法廷跡まである。
城壁や城門跡、柱の上にはコウノトリの巣が 床には見事なモザイク模様が2,000年前とは信じられない
遺跡と花 オリーブの木
「オリーブ」は地中海沿岸国が主産地。 生産量の順位は、スペイン、イタリア、ギリシャ、チュニジア、シリア、トルコ、そして7位がモロッコである。
フエズ
世界一複雑な迷路の街。フエズ・エル・パリはガイドに言わせると迷うと二年間は出て来れないと言うが、まんざらでもない気がする。道は狭く、曲がったり、坂も多い。だから輸送手段はラバやロバである。
フエズはモロッコ最初のイスラム王朝の都である。イスラム教の祖であるムハンマドの婿、アリーの子孫に当たるムーレイ・イドリス1世がこの地に王朝を起こしたとある。
ヨーロッパなど昔の都市は、敵国に攻められないように都市づくりで迷路を作り、対応している。昔も今も攻めたり攻められたりの繰り返しである。
世界一の迷路の街と重要な輸送をになうロバ
小高い丘から見るフェズの街並み 街路樹はオレンジ 王室の衛兵
モロッコの国旗 ナツメヤシなどの専門店 モロッコ名物ミントティ
ミントティも高い所から入れる 小物細工、クギで一つ一つ模様をつける 邸宅レストラン、地元の野菜中心、味は?
タンネリ。なめし革染色職人街の屋上。風呂桶のような所に革を入れる。 織物工芸 陶器に模様を。どこの国も同じである。
イフレン
アトラス山脈越えの町イフレンは、標高1650m。杉の林に囲まれ静かで美しい。ヨーロッパ風のたたずまいで、欧風アルペンリゾートという趣である。モロッコがまだフランスの植民地だった1929年、保養地として建設され、独立後は国王をはじめ政府要人や富豪たちの別荘地となっている。
アンズや桃の花が咲き乱れている ライオン像 日本の新婚カップルがモロッコ衣装、よく似合う
アトラス越え近くの杉林 最高地点は2178mのザード峠、貧しい現地住民が子供とロバを使い写真を撮らせて、チップをせがむ
ミデルト
モロッコの国はアフリカの北西に位置し、なかでもアトラス山脈は北東から南西に斜めに走っている。山脈の大西洋側は緑豊かで、穀倉地帯と海に近く水産物に恵まれ、また城壁や遺跡、そしてメディナも多く、国民の生活も恵まれているようだ。
モロッコの平均年収は4万円〜10万円程度。だから写真1枚を取らせて1ディラハム(60円)といって、1日10人×60円×30日×1年=216,000円(年収)はぼろい商売と言える。
一方、山脈の東側は広大なサハラ砂漠に位置し、砂漠と所々のオアシス、ツンドラのような大地があるため、住民は貧しそうだ。バスで走っていると、砂ほこりの為かやけに目が痛い。だが、渓谷やカスバ(赤い泥で作ったような城塞跡)がいかにもモロッコ風でもある。モロッコは二つの顔を持っているようだ。
本日の昼食は川魚 荒涼とした砂漠かツンドラのような所で即席市場 ズイズ渓谷 モロッコのグランドキャニオン
アトラス山脈のアヤシ山が連なる
エルフードとメルズーガ
かってエルフードはフランス軍の駐屯地として造られ四角の画一的な街並みである。サハラ砂漠の入口で、砂漠までは60Km,車で50分。早朝4時30分スタート、砂漠で日の出を見るために早い。
まだ暗い中、目的地に着く。ラクダが数十頭待機 片道30分程度、休憩時間。この日は日本人ツアーばかり 見渡す限りサハラ、サハラ、サハラ
ベルベル人のガイドはマントを貸すから写真を撮れ、しっかりチップも請求される。ラクダ1頭にガイドと客1人。休憩時間に水晶などの石を買え、買えとうるさい。ラクダは休憩
ラクダ乗り体験4000円、石を買うと数千円、そしてチップ、現地住民のベルベル人はこれで生計をたてている。 数少ない植物、そして糞転がしという虫もいる
最後はベルベル人のテントでミントティーのサービス ベルベル人、少〜しあやしい 砂漠までは8人乗りの四輪駆動
カスバ街道とトドラ渓谷
カスバ街道とはエルフード近辺からワルザザートのアトラス山脈とほぼ平行に走る主要幹線の道路だ。カスバとは、城壁で囲まれた要塞の事。その城塞は土レンガで出来ているので、砂漠と同様に赤茶けている。以前はフランス軍の前線基地があったが、今は原住民のベルベル人の住処である。およそ300Kmの街道に所々、オアシスがあり、砂漠地帯では貴重な水があることから、ヤシの木など植物が密集している。そこにアラブ人の征服から逃れたベルベル人が要塞をつくり移り住んできたようだ。カスバは何処もほこりっぽい。昔は輸送手段としてはラクダであったのだ。
トドラ渓谷はその途中にある。街道きってのスペクタル、スリリングな景勝地だ。高さ200〜300mの絶壁が連なり、ヨーロッパのクライマーはわざわざここまで遠征してくる。
街道筋で見かけるイスラムの女性は顔を見せてくれない オアシスの中の赤い色のカスパ 山も住居のカスパも砂漠と同じ色
オアシスの中の畑には桃の花がひときわ目立つ トドラ渓谷、川には魚が 数百mも続く。リバーサイトにはレストラン、土産物店が並ぶ
ロッククライミング中 砂漠の砂を小瓶に入れてプレゼントされた、黒いのは化石
ワルザザード
マラケシュは大西洋側で、アトラス山脈の反対側の砂漠の入口がワルザザードである。フランス軍の前線基地を今はモロッコ群が駐屯している。この街が有名になったのは、映画「アラビアのロレンス」の舞台となってから、数々の砂漠のロケに使われている。世界中の映画関係者がロケ地として今も熱い視線を注いでいるという。
私はモロッコに来る前の予備知識として、映画「アラビアのロレンス」と「カサブランカ」を再度見てからここに来た。エジプトやタンザニア、ケニヤと違ったスケールがサハラ砂漠である。だれしも砂漠に縁のない人々はどこか憧れるのかもしれない。だから映画が人気を得るのだろう。
ワルザザードの街並み 宿泊のホテル:モロッコのホテルは遅くなるとお湯が出ない。汚い。しかもこの日はホテルで結婚式があって朝まで大騒ぎ、眠れない。抗議しても取り合ってくれない、これがモロッコの風土らしい。あぁ〜。。 アトラス・コーポレーション・スタジオ(映画村)(右端)
アイト・ベン・ハッドゥ
ワルザザードからここまで30分、小高い丘全体に家のような異様な風景が広がる。この村は日干しレンガ造りの要塞のような、ベルベル人の住まいである。現在は数家族しか住んでいないが、迷路のように作られ、敵から守ったのであろう。小川のほとりにあり見るからに美しい。まさに難攻不落の要塞といえる。
この場所で、映画「アラビアのロレンス」、「ソドムとゴモラ」、「ナイルの宝石」などのロケが行われている。対岸には観光客のためのレストランやベルベル人の新市街がある。
遠景、オアシスとカスバ 小川を馬やロバに乗り渡る、60円 ロバは落ちそうで怖い
馬とロバは数十頭が待機 対岸のベルベル人の住居 アイト・ベン・ハッドゥの頂上
敵との抗戦のための窓 今日の昼食はモロッコ名物「ケバブ」日本の焼き鳥(牛) アトラス越え最高地点ティシュカ峠(2,260m)
アトラス山脈の最高峰「トゥプカル山」はこの向う トゥプカル山登山中継地点の山小屋 トゥプカル山頂上(4,167m)
マラケシュ
モロッコを見るならマラケシュを見ずして語れない。北(カサブランカ、ラバト、フェズ)の肥沃な大地と、はるか南(エルフード、ワルザザート)のサハラ砂漠との隔壁となっているマラケシュ。また様々な歴史、遺物、自然、そして人間が見事に集約されている。まさにモロッコの縮図といわれる所以だ。1070年代には王朝も築かれている。
クトゥピア:マラケシュのメディナ(旧市街)に建つシンボルがミナレット(塔)。4面がそれぞれ異なる装飾を持つ傑作。モスク(礼拝堂)として造られた。高さが77m、世界で最も高く美しいミナレットの一つ。
オリーブの木が実を付けだした トランペッターの花 街路樹に多いオレンジの葉、大きな葉と小さな葉があるのはオレンジが苦い
マラケシュの街を歩く娘さん マラケシュ名物馬車体験
マラケシュの街をおよそ1時間、数十台の馬車が喧騒の街を走る。いわば観光馬車だ。馬糞が道路に落ちないように、馬糞受けが馬のお尻の下に設けられている。
マラケシュで最もお楽しみ、ジャマ・エル・フナ広場。大道芸、フナの輪巡り、アクロバット、ベルベルダンス、火吹き男、ヘビ使い、音楽生演奏、講釈師、小劇団、ヘンナ描き(刺青)、入れ歯売り、ガラクタ売り・・・その横には数十件の各種屋台があり、深夜1時まで賑わう。屋台の奥には新スーク(ショッピングゾーン)が数百件とも思われるほど建ち並んでいる。ここは地元の人が相手だけに売り方にせこくない。この日は生憎の雨で人もまばらだ。 妖艶?な踊り、ペリーダンス(右)。
屋台は美味しそう 新スークの履き物や 「お前アホヤねん」の発音は、モロッコで「お前は兄弟」、と親しみの言葉
マラケシュの駅は立派 駅前の案内板、アラビア文字が異国風 マラケシュからカサブランカまで3時間
電車の中は対面式の6人席 モロッコのビールも美味しい。スープは魚の味がしてこれまた美味しい
車窓から見えるケシの花、延々と続く
モロッコ編 完