ナイジェリア紀行
首都ラゴス博物館のガイド嬢 |
旅の初めに・・・ 2012年11月、アフリカで最も賄賂要求がきついと言われるナイジェリア旅行を計画。 |
☆ワンポイント情報
・国名 ナイジェリア連邦共和国 ・言語 英語(公用語)、各民族語 ・面積 日本の約2.5倍 ・民族 ハウサ人、ヨルバ人、イボ人等(民族数は250以上と推定) ・首都 アブジャ(人口100万人) ・宗教 イスラム教−北部中心、キリスト教−南東部中心、伝統宗教−全域 ・人口 1億5,830万人 ・産業 原油、天然ガス、農業等 ・平均寿命 47.8才 ・識字率 2003年の15歳以上の人口の識字率は約68% |
アフリカ全土のデータ ・面積 世界の22.2% ・後発開発途上国(LDC) 34カ国 ・国数 56カ国 ・困窮度 1日1ドル未満で生活する人:全人口の41.1%(2004年) ・人口 9億2,500万人(世界の14.2%)(2006年) ・飢餓率 飢餓率が35%を超える国:18カ国 ・識字率 15才以上63.3%(2004年) ・平均寿命 男性48.8才、女性50.2才(2005年) ・エイズ(HIV)感染率 15-49歳人口の5.9%が感染(2006年) |
☆世界で最も賄賂要求のきつい国境
ペナンからナイジェリアへの国境地帯 | 警察の賄賂要求、スリ、泥棒がたむろする国境 | たくましい物売り |
☆公然と賄賂を要求する警察官
ベナンから今日はナイジェリアに入国するというその朝、マリ人のガイドと運転手は異常なほど緊張している。 彼らは言う。「ここから先は誰一人信用出来ません。」とナイジェリア人の事を指して言う。アフリカ諸国の中ではナイジェリア人というと犯罪者団体というような認識で一致しているそうだ。 ベナン出国でさえ2時間半、通常は30分程度で終わるはずが、ナイジェリアに感化したのかベナン人もノラリクラリと、賄賂が欲しいのだろう。 次は問題のナイジェリア。手続きの書類が不備であるとか、必要のない書類が無いとか、イチャモンばかり並べ立てる。ガイドも早く賄賂を払えば良いだろうに、すんなり払えば足元を見られ余計に請求されるようだ。2時間でようやく解放される。 賄賂解放から3時間程度、専用車の乗客は5時間もの間、嫌と言うほど現実を見せられた。その後は悪路、渋滞でホテルに到着したのは夜半、すさまじいアフリカの問題地区体験であった。 ナイジェリア以外のアフリカ人たちから「ナイジェリア人は泥棒だ!」という話をよく聞かされていた。 その原因は、政治腐敗によると言われている。 また治安の悪さは有名。世界的に有名な「ナイジェリア詐欺」なんていうのもあるくらいである。悲しい事だが、貧しさ故に、犯罪に走らざるをえないのが現状なのかもしれない。
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☆一路首都ラゴスへ(悪路と渋滞でノロノロ)
政治機構が悪いため、国内はゴミだらけ | 国民は懸命に働くが、警官に賄賂を要求される | 幹線道路もデコボコ |
5分とスピードを出して走れない | のろのろ車相手の商売が繁盛 | 悪路と車の多さで年中渋滞。行政は賄賂で忙しい |
道路の堰堤を歩き商売 | 街は廃墟に近い |
物売りは命がけで車道で商売 |
☆ようやくホテル
治安が悪いため、ホテルの門は鉄格子 | ホテル内は安全 | 裏にはビーチも広がる |
ホテルでは賄賂は不要 | 疲れて食もあまり進まない | やけ酒を飲んで早く寝よう |
☆最大都市ラゴス
ラゴスはナイジェリアの南西端のベニン湾岸に位置する同国最大の大都市・港湾都市で、旧首都である。市域人口ではアフリカ最多でありエジプトの首都カイロと共にアフリカでは世界の有数のメガシティである。 人口1085万人、アフリカではカイロに次ぐ第2位と推計されている。 潟湖が大西洋に面した数少ない良港の一つであったことから、ヨーロッパ人、主にポルトガル人との黒人奴隷貿易などの取引の場となった。このベニン湾一帯を指して「奴隷海岸」と称したこともある。 |
時間をかけて見学したいが、また賄賂要求や治安の心配が懸念される |
車窓見学のみとする。警察のいない所へ・・・ | 警察は弱い人の見方ではありません、この国では。泥棒らしい |
こういう物売りの少女でさえ、警察から賄賂を要求されると言う | ラゴス博物館へ |
博物館の中庭 | 貴重な展示物がある。写真NG |
ナイジェリアのガイド | ナイジェリアのガイドは底抜けに明るい |
廊下の写真、裕福なお偉い方の奥様方らしい | ブルジョアらしい笑顔 | きらびやかな衣装とアクセラリー |
何かを訴えるような石象 | 悲しそうに見えるが |
☆大統領
グッドラック・ジョナサン現大統領は、国の現状をどのように・・・ |
☆世界の原油生産量ランキング
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石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途不明のまま消えていく。 |
☆さようなら〜
ラゴス国際空港 | ラゴス国際空港 |
空港も賄賂次第! 早くナイジェリアから離れたい。観光はもう結構、治安も悪いし、取り締まる警官もまた汚い。 早々と空港へ行き、エミレーツ航空のカウンタの行列に並ぶ。しかし、いくら待っても順番が来ない。よく見ると横からドンドン入り込んでいるではないか。担当官に抗議するがらちが明かない。見ていると皆が担当者と不自然な握手をしている。何の事は無い、賄賂を手渡しているのである。 マリ人のガイドは仕方なく陰で賄賂を払ったようである。ヤレヤレ。 次に二階のレストランで昼食。ここも賄賂を払うのか? と、嫌みを言いたくなるが大丈夫。すさまじい国である。 |
☆ニュース・・・・ナイジェリアの「赤ちゃん製造工場」
2011年、新生児を人身売買する目的で10代の少女たちに妊娠・出産させていた通称「赤ちゃん製造工場」が家宅捜索された。
15歳から17歳の少女らが子どもを妊娠・出産させられているとの通報を受けた警察は施設を捜索し、妊娠した少女32人を保護、施設長を逮捕したという。
少女の何人かは、警察に対し、産んだ赤ちゃんを性別に応じて1人あたり約1万5500円で売りさばく話を持ちかけられたと話している。赤ちゃんはバイヤーに1人あたり約15万5000円〜52万円で売られていた。
摘発は2006年から行われているが、その原因の一つには、貧困にあえぐ女性たちが、現金欲しさに自ら妊娠・出産を望むケースもあるという。
児童の人身売買が行われた後は、赤ちゃんの多くは農園や鉱山、工場の働き手として、家政婦として、あるいは売春婦として売られるが、また、ナイジェリアの南東部では、新生児の売買に別の大きな動機が働いている。この地方に暮らすイボ人の社会では、婚姻外の子ども、そして子どもができない女性は「呪われた者」と見なされる。そのため、子どもがいない母親は、自分の子どもと偽って新生児を育てるためならお金を惜しまない。そのため医師の方も、一晩で大金持ちになれるというわけだ。
☆ナイジェリアという国
・自然 ・産業 北部のイスラム教卓越圏と南部のキリスト教圏との境界線とも並行し、ナイジェリアを南部と北部に分ける重要な自然的、 ・歴史 ・政治 ・経済・産業 電力のうち約50%は水力発電で、その大半は1969年ニジェール川に建設されたカインジ・ダムから供給されている。 農業は就業人口の過半数を吸収するナイジェリアのもっとも重要な産業で、耕地は国土の3分の1を占める。 貿易では、輸出は原油が97.9%(1992)と大半を占める。輸入は機械機器43.2%、加工製品24.5%、化学品16.0%、 ・社会 2000年の人口は1億1500万を超えアフリカ諸国中最高である。急速な人口増と都市化は、都市部での住宅不足、失業の増大、 ・文化 ・日本との関係 |
主要三大民族が民族対立の主体 ・ハウサ人〜サバンナ地帯に主として居住する。人口約1200万。ギニア・コーン、モロコシなどの雑穀と米を主作物とする農耕民 ・ヨルバ人〜ナイジェリア南西部に居住。人口約1500万。ヤム、キャッサバ、メイズなどを主作物とする農耕民であるが、古くから ・イボ人〜黒人系の単一民族としては最大規模のグループの1つである。その人口の大半はナイジェリア東南部に住み、 |
☆ アフリカはかってヨーロッパの植民地
1912年のアフリカはヨーロッパ各国の植民地 |
何故、奴隷狩りが始まった? スペインの大航海時代に、15世紀から19世紀の前半まで、とりわけ16世紀から18世紀の時期に、主にヨーロッパ(イギリス)とアフリカとアメリカ大陸を結んで、その後約3世紀にわたってアフリカ原住民を対象として展開された。 アフリカにとって奴隷貿易の開始は、現代までに続く外部勢力による大規模な搾取・略奪そのものと言われるが、現実には奴隷狩りを行い、ヨーロッパ人に売却したのは現地アフリカの勢力である。奴隷貿易によりアフリカは社会構造そのものが破壊されてしまった。 ヨーロッパ人によるアフリカ人奴隷貿易は、1441年にポルトガル人が、西サハラ海岸で拉致したアフリカ人男女をポルトガルのエンリケ航海王子に献上したことに始まる。 大航海時代のアフリカの黒人諸王国は相互に部族闘争を繰り返しており、奴隷狩りで得た他部族の黒人を売却する形でポルトガルとの通商に対応した。ポルトガル人はこの購入奴隷を西インド諸島に運び、カリブ海全域で展開しつつあった砂糖生産のためのプランテーションに必要な労働力として売却した。奴隷を集めてヨーロッパの業者に売ったのは、現地の権力者(つまりは黒人)やアラブ人商人である。 中南米やカリブ海の国々の熱帯地域において、サトウキビ・プランテーションで伝染病によるヨーロッパ系移民の死者が多発していたことなどで、労働者が不足するようになっていた。 そこで、熱帯性の気候に慣れて伝染病にも強いと考えられたアフリカ人が労働力として注目されるようになり、奴隷取引は次第に拡大していく事になった。約3世紀に及ぶ奴隷貿易で大西洋をわたったアフリカ原住民は1,500万人以上と一般にはいわれているが、カリブ海地域で成立した近代奴隷制は、19世紀前半期に次々に廃止されていった。アメリカ合衆国では南北戦争での連邦軍の勝利によって奴隷制は全廃された。 奴隷はアフリカだけで行われた事ではない。日本の戦国時代でも行われていた。勝った武将は負けた所から女子供を略奪するのは普通であった。 人間は罪深い動物なのである。 |
年月 略史 紀元前5世紀から2世紀 初期鉄器文化繁栄
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☆首都アブジャ
人口107万人。1991年に首都を最大都市ラゴスから移転。 街地中心部分(官庁・ビジネス街)のマスタープランは、日本の建築家丹下健三によるものである。 旧首都ラゴスは現在でも経済の中心であり、ほとんどの国が大使館をアブジャに移転した今でも、より大規模な旧大使館を領事館としてラゴスに維持している国が多い。 |
☆参考・・・・・世界腐敗度指数
汚職を監視するドイツの民間団体「トランスペアレンシー・インターナショナル」発表
賄賂で悪名高いナイジェリアは腐敗度指数182カ国の内、143位。 賄賂が少なくクリーンの国家はニュージーランド、デンマーク、フインランド、スウェーデンと続く。
まだ下があった。海賊の国ソマリア、拉致国家北朝鮮、独裁国家ミャンマー、戦争絶えないアフガニスタン等々。
ちなみに日本は14位。
ランキング
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旅を終えて・・・ 噂通りのナイジェリアであった。とかくアフリカは賄賂の国が多いが、ここは異常である。50m毎に警官が机を構えて難癖をつけて賄賂を要求する。こちら専用車の乗客は個人払いではなく、ガイド払いなので高みの見物である。 しかし、個人観光で来るとなると大変な国である。アフリカ最大の人口1億6,000万人を抱えて何処へ行くのだろうか。賄賂とか汚職をするために政府はあるのではあるまいが。 世界で経済破綻したアイスランドや、破綻しそうなギリシャ、イタリア、スペイン等もこの2〜3年で訪れているが、国民の生活レベルは日本以上であると思われる。 だがアフリカ、とりわけナイジェリアは破綻どころかお先真っ暗に思える。国を造る政府や役人が国を壊しているこの現状、いくら石油資本があっても逆にそれらが災いのもとになっているかも知れない。 アフリカ近隣諸国にさえ見放されているこの国はどのようなるのか、今後注目してみたい。 終わり |